子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信83号
日付:2016/12/24(土)

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 ねんねこ通信 83号 2016.12 http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●今年の出来事

●長崎県の子守唄

●コラム−縁故節(山梨県)

●編集後記
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◆今年の出来事
今年選ばれた漢字は「金」でした。オリンピックがあった年に金が選ばれたことは
何回かあったようです。私には陸上の400mリレーの2着が、鮮烈に記憶されてい
ます。スプリンターは遺伝的要素が大きいと言われているなかでの勝利なのです。
 イギリスがEUからの離脱を選んだり、アメリカ大統領選で下馬評を覆して共和党
のトランプ氏が勝利したりと、人間の感覚が変わってきている感がありました。
 自然界では大きな地震が世界のあちこちで起きました。地球は活きているのです。
「人間の勝手にはさせないぞ」とでも言っているかのようです。
 そして、毎日のように報道されるテロや戦争の惨禍です。大人たちの都合で、幼い
子供たちには理解できないままに、命が危険にさらされているのです。誰もが終焉を
望んでいるのに、叶えられそうにありません。
 国内の情勢も気にかかることがあります。子どもの貧困化が進んでいるそうです。
泥沼に足を取られたら、自力では抜け出すことが難しいということで、社会問題にな
っています。子どもたちの責任ではないのです。お金の配分が間違っているのでは?
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◆長崎県の子守唄

 ねんねんよ ねんねんよ 赤ちゃんな ねんねしたて
 アッパッパも なんも 来んなよ 来んなよ
 ※アッパッパは怖いものの意で、幼児に対する脅しの言葉です。
 
 ねんねこ ねんねこ ねんねこよ 眠らにゃこの子が番するよ
 そら来た もう来た おどろんよ おどろん おどろん おどろんよ
 ※怖がらせて、早く寝るように催促しているようです。
 
 一の木二の木 三で桜四の木 五葉松柳 柳のもとにゃ
 ひちょこちょんの 子もって はちょこちょんに ん抱かせて
 のんぼり くんだり ごしんぞう ごしんぞうの寺にゃ
 じゅず はっぽう かねはっぽう
 かねや盗人の おっ取って 板きれ たたいて なんまいだ
 ※数え唄でもなく、所々韻をふんだりして、わけの分からないうちに、赤ちゃんは
 寝てしまうのでしょうか。

 一にいたずら 二で憎まれ 三でさてさて困ります
 四で宵間の出来心 五ついつもの癖として
 六つむじょうに惚れ込んで 七つ泣いたり笑ったり
 八つやけもちゃ恋の情 九つこの子が可愛ゆうて
 十でおっこちになりました
 ※数え唄です。子守たちの無垢な恋への憧れでしょうか。しかし、十で終わってし
 まいます。
 
 右にてぼ(?)もち左にちよん(一寸引)かけて 本土の町を指して行く 
 ちびらぢん ちびらどん こったん(貴方)などけ行くかん 本土の町に貝堀りに
 貝堀りに行く者の朝ぁ顔も洗わずにゃ 後見た時の顔つきどみゃ
 とぼけ顔ではないかいな おうしゃり しゃり しゃり
 はい しゃり しゃり はい
 ※早朝から貝を掘りに行く人たちは、顔も洗っていないよ、寝ぼけ顔だよと囃して
 います。このかけ声が面白いですね。(?)てぼとは手棒のこと、ここでは櫓のこ
 とだと思います。
 
 福江のおっさんたちゃ じゃくね(大根)の輪切り
 色は白しても 水くさい 朝は野にやる 昼ゃ山にやる
 夜は遅まで 物つかせ なんぼ おっさんたちの末よかろ
 ヒッチョコ マッチョコ ヨンヨコヨーン
 ※福江は城下町で早くから商業も発展し、五島の各地から年季奉公に出された娘た
 ちが集まっていました。その奉公の辛さをうたっていますが、雇い主の将来はどん
 なものだろうかと、皮肉ってもいるようです。

・おどみゃ島原の おどみゃ島原の なしの木そだちよ
 なんのなしやら なんのなしやら 色気なしばよ しょうかいな
 はよ寝ろ泣かんで おろろんばい 鬼の池久助どんの連れんこらるばい
・帰りにゃ寄っちょくれんか 帰りにゃ寄っちょくれんか あばら屋じゃけんど
 といも飯ゃ栗ん飯 といも飯ゃ栗ん飯 黄金飯ばよ しょうかいな
 嫁ごん紅な 誰がくれた つばつけたなら 暖かろ
・沖の不知火 沖の不知火 消えては燃える
 バテレン祭の バテレン祭の 笛や太鼓も 鳴りやんだ
 早よ寝ろ泣かんで おろろんばい 早よ寝ろ泣かんで おろろんばい
・姉しゃんな何処行ったろかい 姉しゃんな何処行ったろかい 
  青煙突のバッタンフル(バターフィルという香港の船会社があった)
 唐は何処ん在所 唐は何処ん在所 海のはてばよ しょうかいな
 泣くもんな がねかむ おろろんばい あめ型買うて 引っ張らしょ
・あん人たあちゃ二個も あん人たあちゃ二個も 純金の指輪はめとらす
 金な何処ん金 金な何処ん金 唐金げなばい しょうかいな
 おろろん おろろん おろろんばい おろろん おろろん おろろんばい 
 ※かつて日本の貧しい家では、娘を年季奉公という名目で身売りさせることがあり
 ました。島原では、東南アジアへ行かされていたのです。その「からゆきさん」の
 過酷な運命をうたったものです。娘たちが密輸される日は祭の夜だったり、山で火
 事があったりとした町が騒然としたときだったようです。
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◆コラムー縁故節(山梨県)
 縁で添うとも 縁で添うとも 柳沢およしよ アリャセ コリャセ
 女が木を伐る 女が木を伐る 萱を刈る ションガイナ アリャセ コリャセ
 唄の意味は「縁があって結婚するにしても、柳沢村には行きたくない。女が山へ行
って木を切ったり萱刈りまでさせられるのだから」(KICW101子守唄ふるさとへの旅)

 島原の子守唄の元唄だと言われています。山梨県の石切職人が、炭鉱で栄えた九州
に職を求めて流れ着き、故郷をしのんで唄われていました。後に宮崎康平によって島
原の新民謡として作詞作曲(リメイク)されました。哀愁が漂う旋律の中に、歴史や
その背景が盛り込められています。
 宮崎康平は島原鉄道に勤務していましたが、過労からか失明し退社してから創作活
動をしていました。「まぼろしの邪馬台国」の著者でもあります。
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◆編集後記
 ヒマラヤの山々を身近に感じたくて、ネパールに行ってきました。今は乾期ですの
で天候には恵まれました。間近に見えるエベレストは荘厳でした。街は、昨年の地震
で、世界遺産の寺院の多くは跡形もなく崩れていたり、倒れないように棒で支えてあ
ったりしている所がいたる所にありました。復興までには長期間かかりそうです。
 私の今年の一年は、オーロラに始まり、エベレストで終わりになります。国内では
各地の花々を楽しみ、秘境と言われる所に行ったりと旅行には恵まれた年でした。
 屋上の植物たちは、何とか夏を凌いでくれましたが、お気に入りのセオノサス(カ
リホルニアライラック)を暑さで痛めてしまい枯らしてしまいました。残念です。

 皆様はいかがでしたか。良い年をお迎えください。
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