子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信47号
日付:2010/12/25(土)

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 ねんねこ通信 47号  2010.12    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●国際学力テスト

●愛知県の子守唄

●コラム−足助(あすけ)の昔話

●編集後記

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◆国際学力テスト
 経済協力開発機構(OECD)が、65カ国・地域で約47万人の15歳の男女が
参加した国際学力テスト「学習到達度」の09年実施結果を発表しました。テストは
読解力、数学的リテラシー(活用力)、科学的リテラシーの3分野でした。
 今回初参加の上海がこの3分野でトップを占めました。上海は中国内でも教育改革
が進んでいるようで、この結果になったのでしょう。中国・インドは言語が多様なこ
となどから、全国一斉テストは出来ないとのことで不参加でした。
 日本の結果は、読解力は8位、数学的リテラシーは9位、科学的リテラシーは5位
でした。ゆとり教育で学力の低下が騒がれましたが、子ども達はそれなりに努力して
いるのではないでしょうか。「学力」だけがすべてではありませんから・・・。
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◆愛知県の子守唄

・岡崎地方の子守唄
 ねんねんよ おころりよ 坊やはよい子だ ねんねしな
  まだ夜は明けぬ お目ざにゃ早い よい子だ泣くなよ ねんねしな
 ねんねんよ おころりよ 坊やはよい子だ ねんねしな
  泣くなよい子だ 笑うておくれ 子守も楽だよ 唄がでる
 ねんねんよ おころりよ 坊やはよい子だ ねんねしな
  守りさ子守さ 昼寝が大事 晩にゃ遅うまで 門に立つ
 ねんねんよ おころりよ 坊やはよい子だ ねんねしな
  ねんねしなされ 朝起きなされ あすはこの子の 宮参り
 ねんねんよ おころりよ 坊やはよい子だ ねんねしな
  宮へまいったら なんというて拝む 可愛いこの子が まめなように

愛知県を代表するような子守唄です。近年発売されているCDには、必ずと言えるほ
ど入っています。

・小谷の子守唄(名古屋市東区)
 守りさ 子守りさ 紺屋の守りさ 染めて着せえず 紺絣
  ねんねんよー おころりよー
 守りと呼ばるな 守りさと呼ばれ 守りは若い衆の 花嫁御
  ねんねんよー おころりよー
 背なで泣くなよ 守りさもつらい 山でいつがら 泣きやんだ
  ねんねんよー おころりよー
 雨が降り出す たきものぬれる 家で子が泣く 日は暮れる
  ねんねんよー おころりよー
 西の町から 東の町まで 歌ではやすは 守り子ども
  ねんねんよー おころりよー
 この子守して こんなにやせた 帯の二重が 三重まわる
  ねんねんよー おころりよー
 守りというもの 楽そでつらい 親に叱られ 子に責められて 
  ねんねんよー おころりよー
 こんな泣く子の 守りさはいやだ 誰かたのんで 暇おくれ
  ねんねんよー おころりよー
 暇はやるけど 仕着せはやらぬ 仕着せおくれと たのみゃせぬ
  ねんねんよー おころりよー
 固い約束 石山寺の 石の土台が くさるまで
  ねんねんよー おころりよー
 石の土台が くさるまでながい せめてこけらの はえるまで
  ねんねんよー おころりよー
 盆よ早よ来い つばくら帰る 稲に穂が出りゃ わしも出る
  ねんねんよー おころりよー

 典型的な守り子唄です。自分たちの境遇を切々とうたいあげていますが、唄うこと
でしの辛さを昇華させていたのでしょう。

・木曽川の子守唄
 ねんねこ ねんねこ 酒屋の子 酒屋のもうよは どこへ行った
 あっちの あっちの 木曽川へ おむつや みいしを 洗いに
 洗い川で 洗って いすい川で いすいで お寺の茶の木に かけて来た
 かれたか見て来い おばせるに かれたもかれんも あるものか
 お寺のおくりが とてかした(盗っていった) 何にするとて とてかした
 ふきの(布巾)にするとて とてかした ふきのにならない 巾着に
 一文入れては ちんころりん 二文入れては ちんころりん
 三文いれては 口しめて 泣く子に持たせて だまらせよ
 ねんねしょ ねんねしょ ねんねしょーよ  
 ねんねしょ ねんねしょ ねんねしょーよ 
 ねんねしょ ねんねしょ ねんねしょーよ 

 深い意味はなく「言葉あそび」をしています。寝させ唄に分類されていましたが、
遊ばせ唄にもなりそうです。

・鷺(さぎ)どん
 鷺 鷺 なんで首投げた ひだるて投げた
 ひだるけりゃ 田ぁ打て 田ぁ打ちゃ泥がつく
 泥がつきゃ洗え 洗えばつめたい
 つめたけりゃあたれ あたりゃあっつい
 あっつけりゃひされ ひさりゃひさり虫が引いてく
 どこまで引いてく 窓の下まで引いてく
 窓の下には竹の切り株 ふたもとあって
 手でよう取らず 足でよう取らず
 隣のお婆に下駄を借りて ちゃっと取って見たら
 赤い小袖が十二と 白い小袖が十二 これだれに着しょう
 まま子に着せれば ほんの子がうらみる
 ほんの子に着せれば まま子がうらみる
 まま子に着せて 竹馬に乗せて
 あっちへ行けほうろほろ こっちへ行けほうろほろ
 ほろろの道で ほろほろ穂拾い 穂拾い
 穂はなんぼ拾った 一束三把拾った
 その穂はどした 米についてまま炊いて
 みんな喰ってしまった

 少し長い唄を選んでみました。鷺の話から、ひさり虫、竹の切り株、下駄、小袖、
竹馬、稲穂拾い、それ(米)を炊いて食べてしまうことまで、関係性を考えることの
方が無理なように思われます。子守唄は口承ですから、歌い継がれていくうちに誰か
が自分なりに変えていきます。言葉も旋律も少しずつ変わっていきます。唄が「生き
ている」ことの証です。しかし、生き続けることは難しいようです。
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◆コラム−足助(あすけ)の昔話
 愛知県豊田市足助町、もみじの名所、香嵐渓で有名なところです。そこに小高い山
(飯盛山)があり、その山にまつわる昔話「引きずり廻された神様ー嶽の宮の木像」
を紹介します。 
 その昔、飯盛山に「嶽の宮」という祠があり、お祭りの日にはそこの木像を子ど
 も達が荒縄でしばり、足助の町内を引きずりまわし、家々を廻っては祭りの寄付金
 をねだりました。寄付金が少し足りないので大店に行き寄付を募りましたが断られ
 たので、木像をその店に置き去りにしました。店主は邪魔なのでどけようとしまし
 たがびくとも動きません。仕方なく、寄付をして店から出してもらうことにしまし
 た。不思議なことに子ども達は軽々と木像を動かし、また町中を引きずりまわして
 遊びました。遊び疲れて飯盛山のふもとに置き去りにしておいたのに、翌朝には祠
 に帰っていたということです。
 子どもと地蔵(又は神様)の話は日本各地で見られます。祭りの寄付金を集める話
は初めてです。この本には33話の昔話が載っています。地元の人々によって書かれ
出版されています。紅葉見物に行ったとき「足助屋敷」で買い求めました。
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◆編集後記
 今年もあと数日を残すだけになりました。今年の漢字「暑」があらわすように、本
当に暑い夏でした。異常気象がまだ続いているようで、地球のあちらこちらで大きな
災害が起きていました。人知の及ばぬところでもあります。

 双子座流星群。12月14(火)日午後11時頃から空を眺めていました。東京の
空は曇りがちでしたが、雲の切れ目から流れ星が見えたのです。ラッキーなことに
1時間くらいの間に4つも見たのです。来年は良い年でありますように・・・。
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