子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信111号
日付:2021/8/28(土)

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 ねんねこ通信 111号 2021.8  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●人権・差別・自由

●立場で変わる子守唄

●妖怪の今昔

●編集後記
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◆人権・差別・自由
 オリンピックが終わってパラリンピックが始まりました。世界的なコロナ禍での開
催でしたが、数々の問題が顕著になりました。大会関係者が女性蔑視や軽視的発言、
ホロコーストを揶揄したような表現を過去にしていたことなどで辞退や処分がありま
した。潜在意識のなかに誰でもが持っている「もの」に向き合って行かないといけな
い、常に学び続ける必要があると思っています。
 今、アフガニスタンではタリバンが国を制圧し、政権を行使しようとしています。
女性たちには、イスラム教の範囲内での自由があると言っているようですが、その範
囲が何処までなのか、全く分かっていません。現にテレビ局の女性キャスターが出社
を拒否されて、命の危険を感じているとの報道がありました。世界はこの事態にどう
対応していくのか、他人ごとではなく考えていきたいと思います。
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◆立場で変わる子守唄
 ある女性が、子守りをしていた時にうたった唄と、結婚して母となった時にわが子
にうたった子守唄とでは内容が違いました。今まで別々にしか捉えられなかった子守
唄の歌われ方の違いを見つけました。4歳になった頃から子守りをしていた女性の体
験話しです。
・ねんねしなされ おやすみなされ おきて泣く子は 面憎い
・ねんねしなされ おやすみなされ 寝たら子も楽 守りも楽
・可愛いけれども 離さにゃならぬ 親にかいしょが ないために
・なんの因果で 子守奉公出たか 家が貧乏で 遊ぶ間ないよ
・守りよ喜べ 正月きたら 縞の鹿の子に 足袋まで添えて
・守りよ喜べ 正月きたら 赤い下駄まで 買てもろて
・泣いてくれるな 背中の上で 守りが泣かしたと 思われる
・守りが泣かしたら そぶつにあたる 丈の短い 地の薄い
・地の薄いのに 古綿入れて 猫にかんぶくろ 着せたよな
・守りのつらいんは 日暮れと朝と 雨の降る日は なおつらい
・守りが憎いとて 破れ傘きせて かわいわが子に 雨かかる
・なんぼ泣いても この子はかわい 飯の種やと 思やこそ
・宵や宵やと いつまで宵や いつが宵やら 夜中やら
・守りよ守りよと えらあなどるな 守りは楽なもんか してみやれ
・守りよ守りよと たくさんに言なよ 守りがいやこそ 子が育つ
・旦那大根飯 お家さん菜飯 置いた女衆 おから飯
・情けないぞや 親ありながら こんな苦労も せにゃならぬ
・旦那よう聞け お家さんも聞け 守りをきつすりゃ 子にあたる
・唄はうたうかて よく心得て あたり障りのない唄を

 彼女が大人になって、母親になって唄った子守唄は
・ねんねしなされ ああかわい子や ああかわい子や
・ねんねせよ ねんねせよ アーねんねせよ
・この子はかしこい子や ○○ちゃんはかわいい子やで
・うちのこの子は今寝たところ 誰もやかましゅう 言うてくてるな
・この子寝やして 布団を着せて ぐるりたたいて 針仕事
・うちのこの子に なに買うて食わそ 鯛かハマチか 煮げたの食わそ
・うちのこの子に 何着てうつる 縞か絣か あら縞か
・この子死んでも 墓いはやらん 焼いて粉にして 白湯でのむ
 (エッと思うような唄ですが、それほどまでに子どもを愛しているとの意です)
 辛かった守り子の時はあっても、それなりに昇華して新たな人生を送っていたこと
が分かりました。一人の人生には波乱や喜怒哀楽、色々ありますね。
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◆妖怪の今昔
 今は昔、庶民の夏の楽しみと言えば怪談話でした。怖い話を聞いて「背筋がゾッと
して一瞬寒気が走る」そんなところに「涼」を楽しんでいたのです。行燈や蝋燭の光
の闇の世界に現れる「もののけ」は、恐ろしくもあり見たいもの・感じたいものでも
ありました。ろくろっ首・一つ目小僧・吹消し婆、講談で語られる「耳なし芳一」な
どの猟奇話。現代では「水木しげる」のゲゲゲの鬼太郎に代表される数々の妖怪たち
がいます。私が好きな妖怪話は杉浦日向子の「百物語」です。新潮コミックから昭和
63年に発行(全3巻)されています。彼女の講演会があたっ時、楽屋におしかけて
著書にサインをしてもらったほどのファンです。
 そして今、新型コロナウイルス退散の願いを込めて「アマビエ」が再現しました。
アマビエは1846年(弘化3年)に肥後国(熊本県)の海に夜ごと光り物が起こったた
め役人が近づくと、アマビエと名乗るものが出現し、豊作や疫病などに関する予言を
したと伝えられています。類似の妖怪に「アマビコ」「アリエ」などがあります。
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◆編集後記
 『十七音は縮まるためにあるんじゃない 膨らむために一度縮んでいるだけ感性で
触れれば パッと十七音は一編の小説にもなりうる力を持っている』の言葉ですが、
時実新子ではなく彼女の師匠にあたる川上三太郎の遺した言葉であると、読者から教
えを受けました。「句とは 十七字に ちぢめる事ではなく 十七字に ふくらむ事
である」三太郎。調べが足りなかったことをお詫びして訂正いたします。
 コロナの感染者が激増しています。デルタ株が蔓延して猛威を振るっています。医
療崩壊ともいえる状態です。もう自己防衛するしかないようです。
 
 暑い日が続いています。屋上の植物たち、一部は日除けしてあるのですが、炎天下
に温度計を出しておくと50度を超えてしまいます。それでもノウゼンカズラは咲き
誇り、元気を与えてくれています。
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