子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信110号
日付:2021/6/26(土)

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 ねんねこ通信 110号 2021.6  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●「遊び」とは

●遊びをせむとや生まれけん(梁塵秘抄)

●遊びせんとやー川柳新子座

●編集後記
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◆「遊び」とは
 ・遊びは、それ自体が人間(社会にあるヒト)にとって楽しい自己充足的行為の典
  型である。
 ・エネルギーの無駄遣いから遊びが生まれ、さらに、そこから人間の文化が生まれ
  てきた。
 ・人は遊びの中で完全に人である。 など、色々な定義がありました。
  「遊」の字は「ゆっくりと道を行く」意を持つと共に「あそぶ」意をも表してい
 て、神や一族の王が旗を立ててどこかへ出かけようとするさまを表しているのだそ
 うです。そのような神々の行為を示す言葉が転じて「あそばす」という尊敬語にも
 なっていると。
 古代では遊びは神の行うことでした。中世になると貴族にまで広がり「聖・俗・遊
び」の三つの区別が明確化していき、自由と遊びとのつながりが出来てきました。近
代市民社会では、自由と遊びとの拡大を可能にし、遊びが大衆化してきました。そし
て今があるのです。「遊びをせむとや生まれけん」です。
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◆遊びをせむとや生まれけん(梁塵秘抄)
 梁塵秘抄は後白河天皇撰により、平安後期の「今様歌」といわれる流行歌謡を集大
成されたものです。今様の愛好者だった後白河天皇が、それらの伝統的なうたい方を
保存するため傀儡子(クグツ)や遊女で伝承の確かな者について今様を習うとともに、
その詞章をも集成して、歌謡集十巻が編成されました。今様歌は七五調・四句形式を
基本とし、題材は世俗的なものが多く、他の文献に出てこない民衆の日常生活が素材
となっています。全二十巻のうち巻一巻頭の断簡と巻二全体及び口伝集巻十全体が現
存しています。歌謡集十巻と口伝集十巻からなっていたと推定されています。
 
 遊びをせむとや生まれけん
 戯(タワブ)れせむとや生まれけん
 遊ぶ子どもの声聞けば
 我が身さえこそ動(ユル)がるれ
 ・遊びをしようとして生まれてきたのであろうか。あるいはたわむれをしようとし
 て生まれてきたのであろうか。無邪気に遊んでいる子どものはしゃぐ声を聞くと、
 大人である私の身体までもが、それにつられて自然と動き出してしまいそうだ。
 ※忘れてしまった童心を呼び覚まされた、大人の感懐の歌でしょうか。
 
 舞へ舞へ蝸牛(カタツブリ)
 舞はぬものならば
 馬の子や牛の子に蹴(ク)ゑさせてん
 踏み破(ワ)らせてん
 真に愛(ウツク)しく舞うたらば
 華の園まで遊ばせん
 ※当時の子どもたちの唄ったわらべ唄です。いつの時代でも小さな生き物は子ども
 の遊び相手です。カタツムリを「舞わせる」とはどんな遊びだったのでしょうか。
 平安時代から盛んになった遊びとして「子をとろ子とろ」「かくれんぼう」「走り
 くらべ」「石けり」「お手玉」「竹馬」などがあり、現代にも繋がっています。
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◆遊びせんとやー川柳新子座
 時実新子トキザネシンコは、女性の情念を鮮烈に表現した作品で川柳の世界に新しい風を
吹き込んだ人です。1929年岡山県に生まれ、2007年主宰していた月刊誌「川柳大学」
140号をもって終刊となりました。(同年3月78歳で亡くなりました)
 『十七音は縮まるためにあるんじゃない  膨らむために一度縮んでいるだけ
  感性で触れれば  パッと十七音は一編の小説にもなりうる力を持っている』

 雪中の一軒焼いて遊ぼうよ   「遊ぶ」の題で彼女が詠んだ川柳です。『私は、
いわゆる世間並みの遊びはとても下手だが、空想癖と呼んでもいいひとり遊びは子ど
ものころからかなり上手だった。思春期になってからは「畳の目遊び」にふけった。
腹這いになって畳の目にだんだんと目を近づけていく。空とも海とも原野ともわかた
ぬ無限世界がひろがるまで。当時近所に住んでいた遊女たちに思いを馳せていた。遊
女も私も等しく女。雪中の一軒を焼くぐらいの狂いは常に抱いて生きている。』
 代表作に「有夫恋ユウフレン」があります。
 参考資料(遊びせんとやー川柳新子座92 朝日新聞社発行  ほか)
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◆編集後記
 オリンピックの開催が決まったようですが、まだ問題は残っています。入場者の件
で、IOCの裏側が少し見えたような気がしました。高額人件費の件が報道され、そ
れとの関係があったのでしょうか、JOC経理部長の死(自殺?)がありました。
 「赤木ファイル」事件では、書類の改ざんを命じられた担当者が自殺しました。責
任は誰にあるのでしょうか。亡くなった方ではないと思います。ご家族にとっては無
念でならないでしょう。
 香港の[リンゴ日報]が廃刊に追い込まれました。言論の自由が圧殺されたのです。
民主主義や人権尊重など、その価値は世界共通だと思っていましたが、国によっては
違っているようです。最近の事件で、考えさせられました。
 明るいニュースでは上野動物園のパンダの双子誕生。元気に育って欲しいです。
 
 スーパーで購入した食用の「ユリネ」を試しに植えてみたところ、何と花が咲きま
した。コオニユリ(オニユリの仲間)でした。
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