タイトル:ねんねこ通信103号
日付:2020/4/25(土)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ねんねこ通信 103号 2020.4 http://komoriuta.cside.com/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎目次
●新型コロナウイルス(その2)
●ルイス・フロイスが見た日本の女性と子ども
●コラム−シーボルト父子のみた日本
●編集後記 ============================================================================ ◆新型コロナウイルス(その2) あれから4ヶ月、ウイルスの猛威は世界的に広まり、WHOはパンデミック(感染 症の世界的大流行)を宣言しました。感染者は279万人、死者は19万人を越えました。 この数字は日々更新されていきます。 日本では4月7日、政府から緊急事態宣言がだされれ、三密(密集・密閉・密接) を避けるようにとの要請がありました。外出自粛で都心の繁華街は人影が少なくなり ましたが、住宅地の商店街はより増えたような気がします。連休明けにこの宣言が解 除されるとは思えなくなりました。感染者が予想以上に増え続け、医療や介護従事者 に大きな負担がかかっています。医療物資の不足も問題になっています。医療崩壊が 起きそうな状態です。経済にも悪影響が及んでいます。 治療薬・ワクチンの開発が待たれますが、時間がかかりそうです。 ============================================================================ ◆ルイス・フロイスが見た日本の女性と子ども ルイス・フロイス(ポルトガル人)はイエズス会の宣教師として1562年日本にやっ てきました。布教を続けるかたわら「日欧文化比較」を著し、安土桃山時代の社会、 生活、風俗の歴史を明らかにするための重要な資料となっています。 ☆女性について ・ヨーロッパでは、妻を離別することは罪悪である上に最大の不名誉である。日本で は意のままに幾人でも離別する。妻はそのことによって、名誉も失わないし、また 結婚もできる。(離縁状があれば再婚は自由) ・ヨーロッパの女性は立ち上がって客を迎える。日本の女性は座ったままで迎える。 (家の様式の違いですが、西洋では坐ったままで人を迎えるのは、不作法なので しょうか) ・ヨーロッパの女性は分娩の後、横になって休息する。日本の女性は分娩の後二十日 の間、夜も昼も坐っていなければならない。(日本では座位分娩が普通でした) ・ヨーロッパでは男性が裁縫師になる。日本では女性がなる。(鋏を使って布を裁つ が日本では刃物で裁つ。曲線と直線裁ちの違いでしょう) ・ヨーロッパの女性は指の先に銅の指貫をつけて裁縫をする。日本の女性は掌に皮の 細長い切片をつけ、又は指の中ほどに紙を少し巻きつけて行う。(長針を使って直 線縫いをしたので、この使い方は合理性があります) ・ヨーロッパでは生まれる児を堕胎することはあるにはあるが、滅多にない。日本で は極めて普通のことである。二十回も堕した女性がいるほどである。(産み流すと いう言葉があるように、当時は黙認されていましたが、外国人には異常なことと受 け取られていました) ・お歯黒の習慣があることや、指輪・イヤリングやブレスレットなどの装身具などを 付けていない。前号にも書きましたが、妻が持参金などを持っていて、夫に高利で 貸したりしている、など奇異なことと見ています。 ☆児童およびその風俗 ・ヨーロッパでは幼児を眠らせるために揺り籠を使い、歩くことを教えこむために小 さな車を使う。日本人はこうしたものは何も使わない。ただ自然の与える援助を使 うだけである。 ・われわれの間では普通大人の女性が赤児を首のところに抱いて連れて行く。日本で はごく幼い少女が、ほとんどいつでも赤児を背に付けて行く。(姉妹子守り・雇わ れ子守りを見ていたのでしょう) ・ヨーロッパの子供は長い間襁褓(ムツキ・おくるみのような物)に包まれ、その中で 手を拘束される。日本の子供は生まれてすぐ着物を着せられ、手はいつも自由にな っている。 ・ヨーロッパの子供は多大の寵愛と温情、美食と美衣によって養育される。日本の子 供は半裸で、ほとんど何らの寵愛も快楽もなく育てられる。(小児必要養育草によ れば、小児の安からんことを思へば、三分の飢と一分の寒とを求むべし。これは十 に対して三つほど食をひかえ、衣服を一つうすくして育てること、の教えがありま した) ※参考図書 「ヨーロッパ文化と日本文化」 ルイス・フロイス著 岡田章雄訳 岩波書店 ============================================================================ ◆コラムーシーボルト父子のみた日本 1823年、長崎出島のオランダ商館付医官として来日したドイツ人、フィリップ・ フランツ・フォン・シーボルトは多くの日本人弟子たちに西洋文明への窓を開き、自 らも日本に関する自然・人文両面からの研究を深めて、ヨーロッパに紹介した人物で す。シーボルト事件で国外追放となってから約30年後、今度は長男のアレキサンダー をつれてやってきました。日本は開国したばかりでした。その後次男ハインリッヒも 兄を追うように来日しました。時代は明治でした。 この父子が日本で収集した莫大な量の文物は、現在ヨーロッパの都市に保存されて います。その中には日本ではもう手に入らない物もあるそうです。 日本女性(楠本いね)と結婚し、身近な生活品にも興味を持っていたようで、氷餅 (寒中に晒して凍らせた餅・凍餅シミモチ)・寒天・鰹節・ほしいい(蒸した米を晒して 乾燥させた食品)や化粧道具・櫛・かんざし・笄コウガイ・鏡台、医師としての立場か らは、漢方医療や鍼灸などの日本の伝統的な医療器具・薬品類も収集し、按摩器・孫 の手・耳かき・房楊枝(歯ブラシのようなもの)など枚挙にいとまがありません。 娘のいねは、日本人初の女医になりました。今コロナウイルスで、医療問題が大き く取り上げられていますが、歴史を遡ってみると思わぬ発見がありました。 ※参考資料 「シーボルト父子のみた日本」 江戸東京博物館企画展示冊子 ============================================================================ ◆編集後記 暖かくなったら手持ちのCDをもってその国の大使館を訪ねて、子守唄の話などを お聞きしたいと考えていたのですが、不要ではないけれど不急でもないので足踏みを しています。 春、花の時期に外出自粛の要請がありました。花好きの私は、あちこちにバス旅行 を申し込んでいたのですが、中止になってしまいました。残念ですが致しかたありま せん。コロナウイルスを蔓延させない方が大事ですから。スポーツジムも休館してい るので、出かける用事は食料品の買い物、週に1回だけです。気晴らしにバンダナで マスクを作ってみました。なかなかでしたよ。また作ろうと思っています。 皆様はお元気ですか。感染しないように STEY HOME ですね。 私達の生活に関わる全ての従事者の皆様に感謝しつつ、「神様 お助け下さい!」 と困った時の神頼みしかできない私がいます。 ============================================================================ このメールの配信を今後希望されない方は、お手数ですが、次のURLから配信中止の 手続きをお願いします。 http://komoriuta.cside.com/nenneko/koudoku.html ---------------------------------------------------------------------------- ●子守唄研究室
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