子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信44号
日付:2010/6/29(火)

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 ねんねこ通信 44号  2010.6    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●厚生年金加入記録のお知らせ
 
●阿波・徳島県の子守唄

●コラム−阿波踊り

●編集後記

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◆厚生年金加入記録のお知らせ
 先日、薄緑色の封筒が、日本年金機構から送られてきました。私の年金加入履歴が
入っていました。そういえば2年前には社会保険庁から年金特別便がきていたことを
思い出し、比べてみました。
 大きく違っていたことは、今回は給料の金額が記された表があったことです。自分
が実際にもらっていた金額と会社が社会保険庁に届け出ていた金額が合っているか、
これで確かめられるのです。両者のどちらが不正をしたかは定かではありませんが、
年金受取額が少なかった人が、大勢いたことは確かです。
 そして、これらの作業に掛かっている費用は莫大な金額です。優秀な官僚の方々で
も、このようなトラブルが起きるであろうことを予想できなかったのでしょうか。ど
こかで「支給開始までは時間がたっぷりある」と安易な考えを持っていたとしたら、
一国民としては、やりきれないものがあります。
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◆阿波・徳島県の子守唄

 ねんねんねんと 寝る子はかわい
 おきて泣く子は つらにくい
 つらのにくいやつァ 田んぼへけこめ
 けこめ引っ張り出せ またけこめ

 ねんねねんねと たたいて寝さす
 誰がねさそに たたかれて
 うちのこの子は よう泣くみそじゃ
 守りが泣かすと 親おもう
 家の裏には たんたんたのき(狸)
 出たりひっこんだり また出たり

 始めの唄は直接的な言葉で、2番目の唄は暗示的な内容で泣く子を脅しています。
本当に、子どもを田んぼに蹴り込むことはなかったでしょうが、それほどまでに幼い
子にとって子守りは辛かったのでしょう。

 とんと徳島に 芝居ができて
  太鼓たたけば 雨が降る ヨイヨイ
 うちのこの子は かしこで利口で
  親にかくれて 抜け参り ヨイヨイ
 うちのお父っつあん じょうろり(浄瑠璃)好きで
  買うてやりたい 見台(書見台)を ヨイヨイ

「抜け参り」は「おかげ参り」ともいわれている江戸時代にはやった伊勢神宮にお参
りすることで、全国各地で行われていました。天下ゴメンのお参りでもありました。

 ねんねする子に 赤いべべ着せて
  おきて泣く子に 縞のべべ ヨイヨイ
 芝居見にいき 役者にほれて
  七日七夜 小屋でねた ヨイヨイ
 ねんねする子の 父ちゃんおそい
  猪にかまれてか 道寄りか ヨイヨイ

 帰りの遅い父親を心配していますが、ここでは「寄り道」しているかもしれない内
容が、気になります。

 この子の姉さんどこへいた あのさと越えて 花とりに
 花はなに花つつじ花 三枝折る間に 日が暮れて
 あとへ帰りょにも道知らず 向こうへ行こにも道知らず
   ねーん ねーん ねん
 この子の母さんどこへいた あの谷渡って 萱刈に
 泣いたら守りさんえらいぞな(難儀だ) 子の子が寝入ったらそのあとで
 餅やだんごをしておいて 起きたらこの子に みな食わそ
   ねーん ねーん ねん
 この子の父さんどこへいた あの山越えて木地づくり
 木地はなに木地 六什もん 五つ作って日が入った(暮れた)
 中の小宿で宿とれば むしろははしかい(むずむずする)夜はながい  
   ねーん ねーん ねん
 この子のぼり(守り)さんどこへいた あのうね越えて嫁はんに
 お里帰りに何もらう 三文でこ(安物の木偶)に もぶし(砂糖をまぶした)菓子
 あした七日ぞ はよ戻れ この子よい子じゃねんねする
   ねーん ねーん ねん

 祖谷地方に古くから伝わっている子守唄です。平家落人伝説の地でもあります。
「木地」とは食器を作る素材です。この地方の山間地には木地屋の村落があり、椀・
盆・膳などの木製品を作り、これを里で売って生業としていました。木地柄は6種類
そろえて一膳になります。この唄では、5つ作ったところで日が暮れてしまったよう
です。

 終わりに遊ばせ唄を一つ。
  
 ぎんぎやもんも 籾すりおかた
 やまど(山人・きこり)は戻りこむ 子は泣き叫ぶ
 だんごは煮えこむ 杓子は見えず
 すってすって すりまくれ

 食事の支度に忙しい母親に、子どもがつきまといむずかる時、子どもの手をとって
前後にゆらし、籾すりするようにしながらうたう。つかの間でも、母子のほほえまし
い情景が垣間見られる唄です。
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◆コラム−阿波踊り
 阿波おどりといえば「徳島県」、なかでも徳島市の阿波踊りは県下最大規模で開催
されるものです。毎年8月12日〜15日の4日間で、100万人以上の観光客が訪
れるそうです。三味線・太鼓・鉦(かね)・横笛などの「鳴り物」が奏でる2拍子の
伴奏にのって「連」とよばれる踊り子の集団が踊り歩きます。「えらいやっちゃ、え
らいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿保なら踊らにゃ損々
・・・」と唄われてきましたが、今では「ヤットサーヤットサー」「ソレソレソレソ
レ・・・」などの掛け声の方が多くなっているそうです。
 夏祭りの多くは、先祖の霊を供養することから始まっているので、この祭りも盂蘭
盆会(うらぼんえ)の風習から始まってきたのではないでしょうか。素朴な先祖供養
から発展した「祭り」も、時代とともに変わってくるのでしょう。
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◆編集後記
 南イタリアに行ってきました。アルベロベッロの旧市街のトゥルッリをこの目で見
たかったのです。トンガリ屋根に白い壁、童話の世界のような町並みは、想像してい
たより広範囲でした。その市庁舎の近くの店で子守唄のCDを買いました。店の人に
勧められたものですが、もしかしたらこれはイタリア人が子育ての時に使うのではな
いかと思われるものです。音楽の他にお話も入っていましたが、イタリア語なので今
のところ内容不明です。
 いつかは見てみたいと思っていた「幻の青いケシ」、長野県大鹿村に行って見てき
ました。あいにくの雨模様、花の盛りは過ぎていましたが、感激しました。
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