子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:【ねんねこ通信】5号 2003.6
日付:2003/6/11(水)

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 ねんねこ通信 5号  2003.6    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●久しぶりの保育

●子守唄にみられる脅し言葉

●コラム--ピーピング・トムの由来は

●編集後記

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◆久しぶりの保育
 所属している保育グループも、長年の活動の成果のおかげで保育依頼が増えてきて
います。人手が足りない時は、私にも出番がまわってきます。4月から3回もかわい
い子ども達と遊ぶ機会に恵まれました。その日の前日は、年齢に合わせたオモチャを
揃えたり爪を切ったりと、いそいそと準備をします。
 そんな私の姿を見て「また、若いエネルギーをもらいにいくんだね」と息子に冷や
かされます。本当にその通りで、2〜3日はもらったエネルギーで元気に働いていま
す。ありがとう、かわいい子ども達。
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◆子守唄にみられる脅し言葉

 「泣く子と地頭には勝てぬ」、こんな言葉があります。機嫌のいい時には天使のよ
うに思える子供ですが、いったん泣き始めると母親でも手のつけようがない時があり
ます。
 
 ねんねんよ ねんねんよ 寝たらあん餅 買うちゃるぞ
 起きたらふいふい(お灸) すえちゃるぞ 
 ねんねんよ ねんねんよ(山口県柳井市)

 坊やはよい子だねんねしな 早くめんめをつぶらぬと
 向こうのお山のもうもうが おっかい真っ赤い顔をして
 ねんねしない子を食べに来る。
 坊やはよい子だねんねしな ねんねするなら来ないけど
 もしもそれでも来たならば 坊やの刀で斬ってやる
 坊やの鉄砲で撃ってやる (静岡県浜松市)
 
 脅しの言葉は「お鷹がつれに来る」「狼に食わせる」「鼠に引かれる」「牛に食べ
 させる」「トンビにさらわれる」「鬼が来る」「化け物が来る」「山伏が来る」
 「頭に手拳 二つ三つ」など色々です。
 
 ねんねんねんねん ねんねんよ
 泣くと長持ちしょわせるぞ
 吼えると頬(ほうたん)つみきるぞ
 すねるとすり鉢かぶせるぞ
 跳ねると半纏かぶせるぞ
 ねえると鼠に曳かれるぞ (静岡県)
 この唄は音合わせをして遊んでいます。

 ねんねするゆうて ねる子はかわい おきて泣く子は つらにくい
 つらのにくいやつは まな板にのせて 大根きざむよに きざんでおいて
 うらの流れに 流したい (高知県)

 よいよいよいと ねる子はかわい 起けて泣く子の つらにくさ
 こげな泣く子は あぶらげに揚げて となり近所の お茶じょうけ(宮崎県)
 
 ねんね ねんねよ ねる子はかわい
 面のにくい子は まな板にのせて
 四万十川へちょいと流す (高知県) 

 ねんねねぶたや 寝る子は可愛い 起きて吠える子は 面がにくい
 面が憎いから 田んぼに蹴込み 上るとばかり また蹴込み よいよい(大分県)

 川に流されたり、切り刻まれたリ、油で揚げられたり、田んぼに蹴り込まれたりと
残酷な内容ですが、赤ん坊に理解されるはずはありません。農家の嫁は大事な働き手
ですから、愚痴が出てきたのでしょうか。「遊ばせ唄」として考えると、刻んだり流
したりする動作は面白いかもしれません。
 いつの時代も「泣く子」には手を焼きます。自分の意志を言葉で伝えることが出来
ないのですから、喜怒哀楽を動作で表すしかないのです。
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コラム
 ピーピング・トム(Peeping Tom)の由来は
 「マザー・グースをたずねて」鷲津名津江(小鳩くるみ)著。本棚の整理をしてい
たらこの本が目にとまりました。買った時にパラパラと開いただけで、後でゆっくり
読もうとしまっておいた本でした。「後でゆっくり・・」というのはこんなものです。
 英国伝承童謡は、アメリカや日本では「マザー・グース」本家本元のイギリスでは
「ナーサリー・ライム」と言われているのだそうです。そのジャンルは多様で、遊び
歌、子守歌、なぞなぞやナンセンス詩(韻をふんだもの)など色々です。
「キラキラ星」「ロンドン橋」「ブラック・シープ」などご存知でしょう。
 ところで、この「ピーピング・トム(日本では、出歯亀・のぞき)」の話は、11世
紀のイギリスでのある出来事に由来しています。『市民が重税に苦しむのを見かねた
領主の妻が、夫に減税を進言したところ「あなたが一糸まとわぬ姿で馬に乗って、町
を練り歩いたら・・・」と。そこで妻は「窓や扉を閉めて家の中にいるように」との
おふれを町中に出し、実行して住民を重税から救ったそうです。その時、仕立て屋の
トムだけはこっそり窓から覗き見したので、眼がつぶれてしまった』とか。
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編集後記
新しい職場の動きに少し慣れてきたので、気持ちにゆとりが出来ました。溜まりに
たまっていた資料の整理を、本格的に始めました。面白い唄、意味のさっぱりわから
ない唄、謎を秘めたような唄など、ただ機械的にカードに書き取っていた時にはさほ
ど感じなかったことが、いま、興味深く汲み取れるようになりました。
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