子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信96号
日付:2019/2/25(月)

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 ねんねこ通信 96号 2019.2  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●児童の権利に関する条約
 
●沖永良部の子守唄

●コラム−世之主の墓(よのぬしのはか)

●編集後記
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◆児童の権利に関する条約
 通称「子供の権利条約」で1989年国連総会において採択され1990年に発効し、日本
では1994年5月22日から効力が発生しました。文部科学省は5月20日この条約について
関係機関に文部事務次官通知を行っています。
 批准国は子の最善の利益のために行動しなければならないと定められています。内
容としては、児童の権利最優先、氏名及び国籍の権利、自分の親を知る権利、父母か
ら養育される権利、意見を表す権利など54ヶ条からなっています。
 最近の子どもたちの痛ましいニュースは、耳を疑うような事件ばかりです。早急に
子供を守る対策をとっておけば、このような事件は減っていたかも知れません。奉公
に出された幼い守子たちでも、背負っている赤ちゃんを虐待したりしていません。
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◆沖永良部の子守唄
・親ウヤの産ゥし御蔭ウカキ(親が産んで下さったお蔭で)
 丈タキ程フトウに太フでィてィ(この背丈までに成長しました)
 産ナし親ウヤぬくとゥや(産みの親のことは)
 粗相シソに思ウムうんな(粗末に思ってはなりません)
・桑木ぬ上じ子クワ産ナち(桑の木の上で子を産み)
 乳木ぬ上じ乳飲まち(乳木の上で乳を飲まし)
 下シヤむ菜畑下ウりてィ(下の桑畑に下りて)
 吾子ナクワに名くりら(わが子に名前をくれよう)
・石ぬ上に砂置てィ(石の上に砂を置いて)
 砂ぬ上に花植てィ(砂の上に花を植えて)
 うぬ花ぬ咲かば(その花が咲いたら)
 吾子に呉クいら(わが子にあげよう)
・泣くなくなわらび(泣くな泣くな、わらべ)
 誰が泣きでィ言ちよ(誰が泣けと言ったか)
 泣きでィ言ゃぬ人チユ語り(泣けと言った人を言いなさい)
 うりに守ムらさ(その人に守りをさせよう)
・泣くなくなわらび(泣くな泣くな、わらべ)
 誰が泣きでィ言ちよ(誰が泣けと言ったか)
 泣かなしゅうてィ太フでり(泣かずに大きくなりなさい)
 花ぬわらび(はなのわらべよ)
・眠ネイブりでィどゥ言ちゃる(眠れとこそ言ったのだ)
 誰が泣きでィ言ちよ(誰が泣けと言ったか)
 わが守ムらば眠ネイブり(私が守りをするから眠りなさいね)
 ヨーヒョわらび(ヨーヒョわらべよ)
・眠ネイブりぶり眠ネイブり(眠れねむれ眠れよ)
 眠ネイブらんでィどゥ泣ちゅろ(眠ろうと泣くのだろう)
 如何イキヤしがでィ泣ちゅいよ(どこまで泣くのだい)
 眠ネイブりぶりわらべ(眠れ眠れわらべよ)
・汝ウラが如何イチヤ泣ちゃんてィ(お前が如何に泣いたとて)
 汝ウラ親ウヤぬ聞チちゅみ(お前の親が聞くものか)
 吾ワぬどゥ親ウヤ成ナとゥてィ(私だからこそ親代わりになり)
 汝ウラむ守ムゆる(お前をもお守りするのだ)
・泣きゅぬ子クワぬ面チラに(泣く子の顔に)
 トゥドゥ虫ぬ這ホーとゥらど(円座虫ヤスデが這っているぞ)
 笑ワれぬ子クワぬ面チラに(笑う子の顔に)
 美チユら虫ぬ這ホーとゥらど(きれいな虫が這っているぞ)
・吾ワツちゃ子クワや眠ネイブたしが(私の子は眠ったが)
 汝ウツちゃ子クワや眠ネイブらじな(お前の子は眠らないのか)
 汝ウツちゃ子クワぬ目玉ミタマや(お前の子の目玉は)
 見張ミハい目玉ミタマ(眠らない性なのかなァ)
・人チユぬ子クワぬ泣きゅん時トウキゃ(他人の子が泣くときは)
 飯箆イビラ取トウてィ尻マイ叩タタち(おしゃもじで尻を叩き)
 吾ワきゃぬ子クワ泣きゅん時トウキゃ(自分の子が泣くときは)
 砂糖サタし止ヤみら(砂糖で泣き止みさせよう)
・泣きさ子クワや泣ちゅい(泣きべその子は泣く)
 ふぎ鍋ナビや漏ムゆい(ほげー穴の開いたー鍋は水が漏る
 野原ハルからや い参モい(野良から皆帰っていらっしゃる)
 今ナ如何イチヤがしゆる(さあ、どういたしましょう)
・泣くなくな蔵人クラヒヤーぬ子クワ(泣くな蔵人ー役人ーの子たち)
 泣くなくな筆子テングぬ子クワ(泣くな筆子ー役人ーの子たち)
 御蔵米ウソメとゥてィ来ち(お蔵米をとってきて)
 餉ケ炊タち食コーしゅんど(ご飯を炊いて食べさせるから)
・子守クワムイしゅぬ哀アワり(子守りをする身のあわれ)
 夜昼ユルヒルぬ物思ムメみ(夜も昼も物思い)
 物思ムメみ忘ワシりらば(物思いを忘れられたら)
 御祝ウユエしゃぶら(お祝いをいたしましょう)
・今ナマどゥ吾ワぬ笑ワれぬ(今こそ私を笑っているが)
 吾ワが咲かば見より(私の花咲く時節を見なさい)
 刺ニギぬ上に咲サちゃる(とげーイバラーの上に咲いた)
 花ぬ如グトウくに(花のごとく、花咲く時節もあるでしょう)
・吾ワぬ産ナちゃぬ親ウヤや(私を産んだ親は)
 産ナちゃぬ名どゥ立ちゅる(産んだという名目だけ)
 雲風クムカシがなたら(雲や風になってしまったのか)
 行方ユクエしらぬ(行方が知れません)
・五イチち頃クルないに(五つごろになったとき)
 親ウヤに捨シてィられてィ(親に捨てられて)
 七ナナつ頃クルなたとゥ(七つことになったら)
 吾ワ親イヤ思ウみ出ジヤち(私の親を思い出しました)
・親ウヤとゥ子クワぬ中ぬ(親と子の中の)
 深き有アし見りば(深い中ー情愛ーを見れば)
 親ウヤ居ウらぬ吾身ワミどゥ(親のいない私の身が)
 なゆく可哀想ニソキ(いまいっそうかわいそうです)
・彼ア斯カ遠々トウドウぬ島に(あんなに遠い遠い島=所ーに)
 吾親ワウヤ一人チユイ置ウきば(わが親を一人でおけば)
 宵ヨネなりや見欲フしや(夕暮れになると会いたくて)
 直チヤ思ウみさがる(ただただ思いがしずみます)
・にしに立つ雲や(西ー又は北ーの方に立つ雲は)
 吾親ワウヤ影姿カゲシガタ(わが親の面影のようです)
 立ち代カわい立ち代カわい(立ち代わり立ち代わり)
 見してィ給タボわり(見せてくださいな)
・眠ネイブてィ起イイーてィ覚サみてィ(眠って起きて目が覚めて)
 島向こてィ見りや(故郷の方を見てみれば)
 島ぬ名どゥ見ゆる(島の様子は見えるが)
 吾親ワウヤ見ゃらむ(わが親の姿は見られない)
・野原ハラ出イデてィ見欲ミブしゃ(野良へ出て見たいものです)
 百合ぬ花見欲ミブしゃ(百合の花を見たいものです)
 うりゆかむ見欲ミブしゃ(それよりも見たいものは)
 吾親ワウヤ見欲ミブしゃ(わが親、両親の姿が見たいものです)
 ※この世に生を受けて、我が身が置かれている境遇を眺め思い返しています。それ
 にしてもこの長い唄をよく覚えていて下さったものだと感心しています。もしかし
 たら、この方は子守り奉公をしていた方ではないかとも思われてなりません。
 「えらぶの子守唄」で検索してユーチューブで聞くことが出来ます。
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◆コラム−世之主の墓(よのぬしのはか)
 15世紀頃の琉球王国王朝時代、沖永良部島を治めていた島主(真松千代)の墓で、
石門で囲まれた奥に、サンゴ礁をくりぬいて作った純琉球式の納骨堂が残されていま
す。中央には世之主と妻と嫡子、四隅には家来の四天王が祭られています。大国が攻
めてきたと勘違いして自害したため、妻子や家来達は殉死したという悲話も伝わって
います。今でもきれいに整備され、町の人から敬愛を受けています。
 この島には西郷隆盛の記念館もあり、格子作りの牢獄が再現されていました。
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◆編集後記
 奄美群島は美しい自然にあふれていました。歴史的には複雑な支配に煩わされても
きましたが、住人の柔軟さで乗り切ってきたようです。どの島も住んでみたいと思う
ような人情味あるところでした。
 冬仕度のため多肉植物を室内に入れました。もともと室内で育てていた「バニラ」
は、温度が足りなくて弱ってしまいました。管理が難しいですね。
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