子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信88号
日付:2017/10/25(水)

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 ねんねこ通信 88号 2017.10  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●衆議院選挙結果

●花にまつわる子守唄

●コラム−花折りの謎

●編集後記
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◆衆議院選挙結果
 季節外れの台風が来て、投票の実施が危ぶまれるところもありましたが、無事終わ
り投票率は53.68%でした。この結果は自民284、立憲55、希望50、公明29、共産12、
維新11、社民2、こころ0、諸派0、無所属22。定数が10減ったので465議席です。
 安倍独走を阻止しようと意気込んでいた野党各党は、小選挙区で票の取り合いにな
り自民党に有利な結果をもたらしました。メディアで報道されているとおりです。
 大義なき解散と言われましたが、増税分の消費税を子育てや若者の支援に使い道を
変えることを国民に認めてもらうとの言い分もありました。しかし、膨れ上がる赤字
国債の負債をそのままにすることは、将来の子供達にそのツケを回すことであり支援
とはほど遠いことになります。目先だけの考えで国政を司ることはやめるべきです。
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◆花にまつわる子守唄

 ねんねんよ おころりよ
 おころり坊やはよい子だ ねんねんよ
 日暮れの花の すぼまるように
 泣くなよ よい子だ ねんねんよ(岩手県)
 ※唄い手のやさしさが現れています。
 
 ねんねんねむの木 花が咲き 赤い木の実がなりました
 南の方から飛んできた 小鳥がその実をとりました
 誰にやるかと聞いたれば ねんねした子にあげましょう
 坊やも早くねんねして 赤い木の実をもらいましょう(山形県)
 ※ねむの木はマメ科ですから、サヤの中の種の色は見たことがないのですが、ねん
 ねんと唄ったら「ねむの木」は定番でしょうね。
 
 わしの裏には 梅 松 桜 
 梅が琴弾きゃ桜がうたう
 松は千歳の舞を舞う 舞を舞う(京都府)
 ※それぞれの花木を何に例えているのでしょうか。想像するのも面白いですね。
 
 ねんねんころろん ころ市や ねんねのお守はどこへ行った
 深山の谷間へ花折りに 一枝折っては髪にさし
 二枝だ折っては衿にとめ 三枝折るまに日が暮れて 里に帰るにゃ路もなし 
 山の木陰に宿かれば 夢にやさしい声がして
 折るには惜しい花ながら 負った子供の可愛さに
 一枝折ってまいらすと お山の神がお言いやる
 目覚めてみれば珊瑚樹に 黄金の花が咲いていた
 ねんねんころ市 竹の市(新潟県)
 ※珊瑚樹は、赤く熟した実がサンゴのように美しいところから付けられた名前です
 。花期は6〜7月頃、神様のお許しを得て折ってきた一枝、一夜で蕾だった枝先に
 きれいな花が咲いて驚いたのでしょうね。
 
 ねいねいや ねいねいや ねんねがじゃじゃ(母)はどこへ行った
 この向こう山へ花折りに なに花折りやと問うたれば 菊や牡丹や芍薬や
 一本折りては腰にさし 二本折りては振りかたね 三本折る間に日が暮れる
 宿はどこやとたずねたら あっちの宿にも火がみえる
 こっちの宿にも火がみえる こっちの宿に泊まったら
 筵は短し夜は長し 夜中に起きて空みたら
 雛のような女郎たちが 燗鍋さげて酒買いに
 ねんねのじゃじゃ(母)酒好きで 酒の肴はなんじゃの
 瓜や茄子(なすび)の集めもの 酒を飲めば乳が出る
 ねんねが母酒のんで その乳ねんねに飲ませるぞ(石川県)
 ※花折り・花摘みの類歌は全国に見られます。花の種類はそう多くはありません。
 ここに挙げた他にマンサク・つつじ・椿・桜・藤、茄子や胡瓜もありました。
 
 向こうから雀が三匹とんできた 先の雀も物言わず 後の雀も物言わず
 真ん中のこびっちょ(小さい)が言うことにゃ
 あがだ あがだ 花摘もや 花は何の花 菊の花
 一枝折ればパッとし 二枝折ればパッとし 三枝三月で日が暮れた(長崎県)
 ※雀の他にも猿・牛が主人公になっている唄もありました。子守唄特有の筋の通ら
 ないものが多かったのでここにあげませんでした。長いものでは話があちこちに飛
 び、どうしてそうなったのか現地に行って調べたくなりました。
 
 子供衆 子供衆 花を摘みに行きゃらんか
 花はどこ花 地蔵がたお(峠)のさくら花
 一枝摘んでもパッと散る 二枝摘んでもパッと散る 三枝目に日が暮れて 
 上の小松い火をつけて 下の小松い火をつけて 中の小松い火をつけて
 なんぼつけても あ(明)からんぞ(島根県)
 ※現地では遊ばせ唄として唄われていますが、本来は手まり歌として伝承されてい
 たそうです。
 
 おずな おばな なだえっちょう(鉈一丁)かしもしえ
 花こ折りに えぁもされ 何花折りさ 黄金花折りさ
 一枝折ってぁ引っ担ぎ 二枝だ折ってぁ引っ担ぎ 三枝目に日ぁ暮れで
 蕎麦打づ小屋さ 宿とって泊まった
 あがつき(暁)起きで見だれば 金銀のような上臈(じょうろう)が
 寺から下りだ 何装で下りだ 袴装で下りだ
 ひっこ山の ひっこのご 竹山のたげのご
 ひっこど けやっこど 蛤貝っこど 庭(二羽)踊る 小雀(岩手県)
 ※コラムに解説を書きました。
  
 山で怖いのはイゲばら木ばら 里で怖いのは守りの口
 おどんがうっちんずろば道ばちゃいけろ 通る人ごて花あぐる
 花なんの花つんつん椿 水は天からもらい水
 おどんがおればこそこん村がもむる おどんが行ったあて花がさく
 花は咲いてもどくな花咲かん 手足かかじるいげの花
 ※五木の子守唄にある「花」にかかわる唄です。イゲは刺のことです。守子は村の
 娘たちからみたらよそ者ですから、疎まれる存在でした。自分を卑下することでか
 ろうじて均衡を保っていました。しかし、そこでチラリと反骨精神を見せているの
 が自分を「イゲ」に例えていることです。たくましさがあります。 
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◆コラム−花折りの謎
 遠野で伝承されているこの唄は「砂金掘りの唄」だそうです。遠野にはいたる所に
金山があり、百姓もこっそりと砂金掘りに行ったと。ナタを持って山に入り砂金掘り
をした。一本折るとは、細い金脈を一本探したあとそれを袋に入れて担ぐ、二番目の
沢に行ってまた砂金を取る。三番目の沢に行くころには日が暮れてしまった。山には
農作業の小屋がありそこに泊まった。翌朝早起きして山を下りようとしたら、山寺か
ら降りてきただろう上臈に出合った。彼女等は生きる(食べる)ために寺通いをして
いるのだ。ひっこ山・・・の所は、男女の営みを比喩している言葉。竹山はお寺のこ
とで、たけのごは和尚さんのこと。お寺でそんなことをするのはいかがなものかと、
ご政道を風刺していて、百姓の気持ちも込められている。上臈の服装は袴を着ていた
。それは小袖袴で鎌倉時代のものだ、この唄もその時代に作られたのではないか。
 参考資料(伊丹政太郎著  遠野のわらべ唄・菊池カメの伝えたこと 岩波書店)
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◆編集後記
 私が私であることの証明は、戸籍がしっかりしている日本では簡単です。しかし、
盲点がありました。以前仕事で関わっていた人から「友達が困っている」との電話で
す。中卒で家出して現在33歳、きちんとした仕事につこうとして住民票を取るため
役所に行ったところ、家族は転居していたのです。転居先を知ろうとしたのですが、
彼の身分を証明するものが無かったので教えてもらえませんでした。警察に相談して
もだめで、どこに行けば彼が誰であるか証明してもらえるのか、との話でした。幸い
中学校は卒業しているとのことでしたので、名簿も卒業アルバムも残っているから学
校に行って相談してみたら、と勧めました。以後電話はないのでうまくいったのだと
思います。基本的人権が得られていなかったのです。でも、今回の選挙には間に合わ
なかったでしょう。考えさせられる出来事でした。

 2月に種を蒔いた大胡蝶オオゴチョウ、20センチほどに生長しています。
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