子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信81号
日付:2016/8/25(木)

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 ねんねこ通信 81号 2016.8 http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●象徴としての天皇陛下

●栃木県の子守唄

●コラム−とちおとめ(苺)の話

●編集後記
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◆象徴としての天皇陛下
 8月8日、天皇陛下がご自分のお考えを表明されました。80歳を越え身体の衰え
を考慮すると、象徴としての務めを果たすことが難しくなってくるのではないかと。
 日本国憲法の第1章 天皇の第1条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の
象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とあり、8条ま
である中に決まり事が書かれています。
 「象徴」は当時起草された英語の「シンボル」を和訳した言葉で、その意味として
は「形を持たないものを、ほかの形のあるもので表すこと。またその表されたもの」
とある辞典にありました。形のないものをご自分の行為で表され、国民に伝えられて
いたのです。難しいことですね。
 生前退位のお考えを示されたと取られる内容でしたが、私は同意します。両陛下の
笑顔を一日でも長く見られるように、肩の荷を少し軽くしてください。
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◆栃木県の子守唄

 あっち向け こっち向け 筑波見ろ
 筑波の山では白猫が 足駄をはいて 山登りだ
 足駄じゃあぶない じょんじょ(草履)がいい
 じょんじょの鼻緒が切れたなら 赤いかっこ(下駄)を貸してやる
 ※筑波山は中腹から上がガレ場で白い岩肌がむき出しになって見えます。それを白
  猫に例えてうたっているそうです。
  
 ねんねん猫のけつ 蟹がはさんだ
 あいててこんちくしょう 離しやがれ
 父さんとってくれよ またはさんだ
 母さんとってくれよ またはさんだ
 ※このユーモアのある寝させ唄は「挟まれては取り・・」を繰り返しているうちに
  眠りに落ちるのです。他にもアリや毛虫が入り込んだ、などあります。本当にそ
  うだったら眠れませんよね。
  
 そまつにするなと母上の 仰せたまいしこの人形
 着物を着せて帯しめて 箱の御殿に坐らせん
 着物はみどり 帯は赤 模様は千鳥に 春の雪
 泣くなよ泣くなよ お休みの日に 梅見に連れて行こう
 あわけるねずみ じゃれるねこ 坊やの人形 破るなよ
 またも今度の休みには 村の鎮守の縁日よ
 何を買うてあげようか お前に太鼓を買ってやろう
 ねんねんねんねん ねんねしな
 ※この歌は歌詞から推察すると、明治以降に創作された教訓童謡の一つではないか
  と書かれていました。
 
 ・太郎がかわいの限りなし 山では木の数 かやの数
  千両が浜では石の数
 ・山で木の数 萱の数 浜では船頭が砂の数
  ちゃんちゃん畑の 芥子の数 ねんねろねんねろ
 ※子どもの可愛さを木や石や砂など数えきれない物で表しています。親の計り知れ
  ない愛情の表現です。
  
 ねんねこ坊ちゃん亀の子坊ちゃん そりゃのっぺんぼ
 のっぺんぼに育てちゃ貰い手がね
 もらい手がなければ一生後家だ
 一生後家 二生後家 三生後家だ
 三両で求めた小脇差 小脇差ささせて婿に出す
 ※「のっぺんぼ」とは「間抜けな人」と言うような意味を持っています。甘やかさ
  れて育てられたのでしょう。後家は夫に先立たれたか未婚の女性の事ですが、こ
  こでは「婿に出す」と。どちらも「あまり役に立たない人」の意でしょうか。
  
 坊やの子守はどこいった 暴れの晩でも飴買いに
 飴を買ってきて誰にやる ねんねになめさせて 大きく育てて
 大きくなったら嫁にやる 嫁さん仕事はなに仕事
 粟飯 稗飯 石臼ひき それが嫌なら出ておいで
 ※お嫁さん、もう少し大事にしてほしいですね。
 
 ねんねろねんねろ 太郎なさせて嫁とらせ
 嫁の仕事はなに仕事 糸とり機織り針仕事
 たまにはちょこちょこお洗濯
 ねんねろねんねろ ねんねろう ねんねろはちゃぐろ
 はちゃぐろのおっかさんは機織り上手
 去年の正月たてた機 今年の正月織りきれた
 ※女性の大切な仕事は機織りでした。自給自足で綿花を育て糸取りをし、染色して
  布にする。この女性は1年かけて1反又は1匹(2反)仕上げたということは、
  細かい柄物だったのだと思います。売り物でしょうね。
  
 坊やは誰の子 父ちゃんの子 父ちゃんによく似た色じろで
 目細 鼻高 桃いろ 早く育てて嫁に出し
 嫁の仕事はなに仕事 機織り 糸ひき 針仕事
 父ちゃん仕事はなに仕事 草刈り ぶらぶら それが仕事
 おばちゃんの仕事はなに仕事 洗濯ぶらぶら それが仕事
 ※嫁以外の人は「ぶらぶら それが仕事」。正直でいいですね。でもぶらぶらして
  いるように見えても農家の仕事は重労働です。
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◆コラムーとちおとめ(苺)の話
苺はバラ科の多年草で、私たちが食べている部分は花托(又は花床)で果実ではあ
りません。苺の果実は一見して種子に見えるツブツブで、痩果と言われているもので
す。一般的に栽培されている苺は、江戸時代の終わり頃にオランダから輸入されたも
のでオランダイチゴと呼ばれています。作物として本格的に栽培されたのは明治5年
頃からで、フランスから取り寄せた早生種「福羽」という品種でした。当時は庶民に
は縁遠いもので皇室用とされ「御苑いちご」などと呼ばれていました。
 栃木県で栽培が始まったのは大正時代頃からで、昭和20〜30年代に県内各地に栽培
が広まりました。「とちおとめ」は女峰の後継品種として、1996年に県の農業試験場
で生まれました。大粒で甘くジユーシーな果汁たっぷりの苺です。
 今年、バスツアーの苺狩りに参加して1年分の苺を食べてきました。もちろん「と
ちおとめ」です。20個までは数えていたのですが・・・・・。
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◆編集後記
多くの感動を与えてくれたリオ・オリンピックが終わりました。開会式でオリンピ
ック マークの旗を持った難民選手団が目を引きました。競技期間中は戦争や争い事
は「休戦」するというオリンピック精神は忘れられてしまい、世界中いたるところで
悲惨な争い事が続いています。犠牲者の多くは一般市民、中でも幼い子供の姿には心
が痛みます。華やかな舞台の裏には、過酷な現実もあります。

 この夏の暑さに屋上の植木達が悲鳴を上げてしまいました。日よけネットを作って
養生したのですが、手遅れの植物もありました。屋上は高温多湿なのです。
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