子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信79号
日付:2016/4/24(日)

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 ねんねこ通信 79号 2016.4  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●活断層

●熊本県の子守唄

●コラム−阿蘇五岳と伝説(火口湖)

●編集後記
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◆活断層
 過去数十万年の間に活動したことがあり、将来も活動し地震を起こす可能性のある
断層。と辞書に書かれていました。日本にはその活断層が分かっているだけでも2千
以上あり、まだその数倍はあるということです。今回の熊本地震は内陸型地震で地下
の浅い所(約10km)で起きました。活断層には上下にずれるものと、左右にずれる
ものがあり、熊本地震は横ずれでした。
 本震が余震の後に来たなんて、理解の外でした。
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◆熊本県の子守唄

すーすー子ども あしたけ(明日来い)あさってけ(明後日来い)
 あらもと(くず米)すって かますっで(食べさせるよ)
すーすー子ども 堂の前へ こるでけ(転がって来い=急いで来い)
 あきうど(商人)が ひゅう(尻)こしゃじ(こそいで)なめさすっで
  ※子供を背負い、体を前後に揺するだけの動作を唄に合わせて繰り返す。単純な
  動作ですが、背負われている子供にとっては安らぎがあるでしょう。
   
 いっちょ 打ってやろ
 爺さんに いっちょ 打ってやろ
 婆さんに いっちょ 打ってやろ
 いっちょ 打ってやろ
  ※遊ばせ唄です。大人があお向けに寝て両ひざを立て、その膝の上に子供のお腹
  が当たるように乗せ、足の甲でお尻を支え、唄に合わせて足を上下する。大人は
  両手で子供を支えるが、時には手を放してスリルを与えてあやす。ちょっとした
  スリル、子供はキャッキャッと言って喜びますよね。経験があります。
  
 ねんねしなされ まだ夜は明けぬ 明けりゃお寺の鐘が鳴る
 ねんねした子の可愛さぬぞさ 起きて泣く子の 面にくさ
 ねんねこねんねこ ねんねこよ ねんねこかっちり お亀の子
  お亀はぬすっと(盗人起)が おっとった
 ねんねしなされ 朝おきなされ 朝の寝起きにゃ だご(団子)饅頭
 だごか饅頭か おこしの米か 一夜作りの 甘酒か
  ※夜明け前に目を覚ました幼子を、無理にも寝させようとする母親の姿が唄われ
  ています。昼間の重労働の疲れがそうさせているのでしょう。ちゃんと寝たら、
  朝のお目座にご褒美をあげると言っています。甘いものは貴重でした。
  
 向かえの山に 灯が明かる 月か星か ほったる(蛍)か
 山寺坊主の 御前迎え(嫁取り) よんべ迎えた 花嫁御
 今朝の座敷に 出したれば 椀が細いとて 出てはしる
 まいっとき(今しばらく) 待ちなはり わんふとの(意味不明又は我が友よ?)
 椀は菜に椀 たかち椀(腰高椀) 膳はなに膳 杉の膳 
 箸はなに箸 やなぎ箸 なにが不足で あるものか
  ※やっと迎えた花嫁さんが翌朝に「ご飯の椀が小さいと言ってすねた」と。たか
  ち椀や杉の膳・柳の箸まで出してなだめようとしている夫の戸惑いが見受けられ
  て、ほほえましくなります。
  
 江戸の父さん 早よもどれ 飴もぶんぐ(櫛箱)も いらんばな
 お千と万八ゃ うっ死んだ あさがら(麻幹)二本に 渡されて
  ※昔話に、父親が留守の間に、継母が釜の上に麻幹を差し渡し、お千と万八の継
   子にその上を渡らせ、煮え立つ湯の中へ突き落して殺してしまうという話があ
   ります。継母・継子にまつわる説話なのです。
   
 今年ゃこけおって(ここにいて) きもん(着物)三つもろて
 年中泣く子を かりあげた(背負い通した)
 ねんねした子の かわいらしさみぞさ 起きて泣く子の 面憎さ ヨイヨイ
  ※口減らしに出された子、着物三枚が給金代わりです。前年はどこへ行ったので
   しょうか。そして来年はどこへ行かされるのでしょうか。「かりあげた」とい
   う言葉に守子の心情がにじみ出ています。
   
 今朝の寒さに 親なら子なら 行くな戻れと ゆてくりょに
 他人おそろし 闇夜はこわい 親と月夜は いつもよい
 おどんが死んだら 誰が泣いてくりょか 前の松山 蝉が鳴く
 蝉じゃござらぬ 妹でござる 妹泣くなよ 気にかかる
 おどんがごたってにゃ もの言うな名言うな 情けかくるな 袖ひくな
 情けかくっちゅうて 籾のぬかかけて さまの情けは かゆござる
 こんな所に なぜ来たしらぬ 親が行くなと 止めたのに
 親はどこかと 豆腐にきけば 親は畑に 豆でおる
 おどんが父さんな 桶屋でござる 朝はとんとことんとこ 輪をたたく
 ねんねした子に 香箱七つ 起きて泣く子に 石七つ
 あの子にくらし わし見て笑う わしも見てやろ 笑てやろ
 あの子偉そに 白足袋はいて 耳のうろに あかためて
 山でこわいのは さるとりいばら 里でこわいのは 守りの口
 おどんが憎けりゃ 野山で殺せ 親にそのわけ 言うて殺せ
 おどんがこの村に 一年とおれば 丸木柱に 角がたつ
 丸木柱に 角がたつよりも 早くいとまが 出ればよい
 おどんがおればこそ こん村がもむる おどんが行ったあとで 花がさす
 花は咲いても ろくな花はさかん 手足かかじる いげの花
  ※四浦春山の子守唄です。全国的にうたわれている「五木の子守唄」はこの唄が
   原曲となっていると言われています。次回は五木の子守唄の特集をします。
  
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◆コラムー阿蘇五岳と伝説(火口湖)
 阿蘇は典型的な二重式の火山です。高岳を最高峰に、根子岳・中岳・烏帽子岳・杵
島岳が連なり、この五岳を中心に周囲128kmの外輪山に囲まれています。
 『大昔の阿蘇は外輪山に切れ目がなく、その中には水がたまって広大なカルデラ湖
 になっていた。健磐龍命(タケイワタツノミコト、阿蘇大明神)はこの水をなくして田畑を造
 ろうと考えた。そこで、外輪山の一部を蹴破ることにした。一度目に挑戦した場所
 はなかなか蹴破れない。というのもその場所は山が二重になっているからで、以後
 「二重(フタエ)ノ峠」と呼ばれるようになった。別の場所で再挑戦すると今度はみご
 とに蹴破ることが出来た。そのはずみで健磐龍は尻餅をついてしまって「立てぬ」
 と叫んだ。以後その場所は「立野(タテノ)」と呼ばれるようになった。蹴破った場所
 からは大量の水が流れ出し滝となり数匹の鹿も流されたことから「数鹿流(スガル)
 が滝」と呼ばれた。湖水が引いてくると底から巨大なナマズが現れた。ナマズが水
 をせき止めていたため健磐龍は太刀でナマズを切り、ようやく湖水は流れ去ったと
 いう。また、カルデラ湖にいたナマズが流れ着いた場所が現在の嘉島町の鯰という
 地名になっているともいわれている』
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◆編集後記
 4月14日、テレビの画面に緊急地震速報が出ました。熊本で地震が発生したとい
うのです。その被害の凄さに驚きましたが、数日にわたる大地震が続くとは想像だに
できませんでした。こんなことがどうして起きるのか、自然の脅威に言葉もありませ
ん。これから梅雨や台風の季節を迎えます。被災された方々の生きる力を信じていま
す。そして一日も早い復興を祈っています。
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