子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信77号
日付:2015/12/26(土)

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 ねんねこ通信 77号 2015.12  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●消費税ー軽減税率

●和歌山県の子守唄

●コラム−海難1890

●編集後記
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◆消費税ー軽減税率
 2017年4月から税率が10%になります。問題になっているのが食料品などに
対する税率の軽減措置です。消費税は逆進性の高い税制ですから、多くの低所得者に
とって税率が上がることは、重税感・負担増の感があります。かといってこのままで
は経済が成り立たないであろうことも推察できます。長寿高齢社会になり福祉にかか
る金額が増え、その財源として消費税の増加分をあてるとの構想です。1989年、
消費税が導入された時、福祉の財源にすると言っていたように思います。その時高齢
化社会は目に見えていました。
 食料品などは8%に据え置くとのことですが、それらの仕分けも問題になっていま
すし、そのための財源の手当ては不明のままです。今のままの財政赤字が続くと、数
年先にはまた税率を上げなければならなくなると、多くの経済学者は言っています。
孫やひ孫の世代に、より多くの負債を圧しつけることはしたくありません。国債赤字
は1000兆円を超えています。大丈夫なのでしょうか、日本は。
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◆和歌山県の子守唄

 じんごや かんごやかんごやのおばさん
 足が痛うて よう歩きません
 一丁目 二丁目 三丁目のかどで
 大水ついて 舟を浮かべて
 船頭さんは誰よ 太郎さんじゃないか
 深い川 越そうか 浅い川 越そうか
 とてもかなわぬ 深い川へドッブーン
 ※遊ばせ唄です。幼児を抱いて揺すりながら、最後のドッブーンで下げます。その
 急降下が面白くて声をあげて喜びます。
 
 ねんね根来のかくばん山でよ としより来いよの鳩が鳴くよ
 ねんね根来に行きたいけれどよ 川がおそろし紀の川がよ
 さんざ坂本室谷の娘よ 嫁入りしたそな住持池よ
 ねんね根来の夜鳴る鐘はよ 一里聞こえて二里ひびくよ
 ※平安の頃、坂本の室谷忠家の一人娘「桂」が、泉の国の大原源蔵という武士に嫁
  ぐ輿入れの日、住持池の堤にさしかかったところ、一天にわかにかき曇り、すさ
  まじい雷鳴とともに池の中から美男と化した蛇が現れ、桂姫を奪った、という伝
  説をうたっているそうです。
  
 堺 住吉 いとまの太鼓よ 流れついたよ 加太浦ィよ
 加太はよいとこ 西浦うけてよ なかとあらしは そよそよとよ
 親のない子に 髪結うてあげらよ 親は喜ぶ 極楽でよ
 親のない子と 浜辺の千鳥よ 日暮れ日暮れに 泣きくらすよ
 ここら(心)小島で 身は加太浦でよ 船は田川の 新湊よ
 ※加太の湊にある淡島神社の祭神は、むかし泉州堺、住吉神社の妃でした。妃が病
  気で不縁となり、堺の七度の浜から船に乗せられ流された。着いた所がここ淡島
  という言われをうたっています。
  
 高野雪降りゃ 神谷は霰よ 河根で清めの 雨が降るよ
 行ったら見て来い 橋本御殿よいよい 裏は紀の川 舟が着くよ
 紀州紀の國 荒川粉河よいよい おまん包は 竹の皮よ
 ※気象の地域差がみえて面白いですね。
 
 ねんねねんねん ころりとなされよ 寝たら子も楽 守りも楽よ
 ねんねねんねん 寝た子はかわいよ 起きて泣く子は 面にくいよ
 塩谷祓井戸 広芝野島よ 加尾や上野や 楠井や津井やよ
 おもしろいぞや 名田目の道はよ 楠井通れば 津井通るよ
 盆と正月 一緒に来たらよ 火鉢かかえて 蚊帳かぶるよ
 ※地名がたくさん出てきます。道なりに何か言われでもあったのでしょうか。
 
 守りが憎いとて破れ傘くれてよ かわいわが子が雨ざらし ねんねんねんよ
 ねんねした子に赤いべべ着せて 起きて泣く子に縞のべべ ねんねんねんよ
 ねんねしなされ寝る子はふとる 起きて泣く子は面にくい ねんねんねんよ
 私が死んだら誰が泣いてくりょに 山のからすが鳴くばかり ねんねんねんよ
 山のからすもただ鳴きゃせぬが 墓の団子が食いたさに ねんねんねんよ
 とんととまめはほうらくの中で 連れて走ろか腹切ろか ねんねんねんよ
 ※守子唄です。「とまめ」はそら豆のことで、ほうらくで焙ればはじけます。腹切
  るとはその事を言っているのでしょうか。
 
 裏の畠の柿の木に 三羽の雀が止まって 一羽の雀が言うことにゃ
 昨夜もろうた花嫁が なんでしくしく泣いている
 衿と衽と裁ち間違うた そんな嫁なら行んでくれ
 行ぬにゃいぬけど道中しらん 田んぼの端まで送られて
 上から蜻蛉につつかれて 下から蟹にはさまれて 出合い出合い 一まわり
 ※嫁の条件として着物が縫えることは必須でした。裁ち間違えたら追い出されるこ
  とがあったのでしょうか。あったからこそ唄われているのです。
 
 烏は熊野の鉦たたき 鉦無って戻って 旦那の前へ腰かけて
 竹の筒拾うて 中割ってみれば 赤い小袖十二枚 白い小袖十二枚
 我が子に着しょうか 継子に着しょうか 継子は厭じゃ
 我が子に着せて 竹馬にのせて しゃんこしやんこ行けば
 五葉松 柳 柳の木の枝に烏も止まり鳶も止まり
 烏の首をねってねって ねじきって
 女郎に見せば 女郎はかしく お殿さんの槍かたげ
 よし槍かたげた 銭百やろぞ 菓子買うて食えよ
 うまいこと そうてんじょ
 ※唄の内容を想像してみるに、鉦たたきに行った烏が、鉦が無かったので戻ってき
  た、は分かります。竹筒の中からなんで小袖が出てきたのか、それを我が子に着
  せて竹馬に乗せて歩いていたら、木々の枝に烏や鳶が止まった。なぜ烏の首をねじ
  って殺したのか。そこに女郎が登場して何かしたら、殿様に褒められて菓子でも買
  えと銭百をもらった。うまいことしたものだ・・・。
  その昔、言い伝えられた出来事の一つかもしれません。
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◆コラムー海難1890
 オスマン帝国最初の親善使節団として訪日したエルトゥールル号が、その帰路、和
歌山県串本町(元 大島村)沖で遭難しました。知らせを受けた地元の人達は総出で
救出に当たり69人が救助されましたが、乗員500人以上が犠牲になりました。
 この事件や献身的な救難活動を記念して、1974年に遭難現場付近の紀伊大島に
「トルコ記念館(町立)」が設立されました。遭難した船の模型や乗員の遺品などの
ほか、トルコ政府から寄贈された品々が展示されているそうです。
 トルコとの合作で「海難1890」の映画が製作され12月5日に公開されました。
映画の中でイラン・イラク戦争中の1985年に、航空機の無差別攻撃が開始される
タイムリミットとなった際に、日本から要請を受けたトルコ政府は自国民救出のため
の航空機を日本国民のために提供してくれました。昔の恩返しということだそうです
が、記憶に残したい善い話ですね。
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◆編集後記
 MAMMOTH(マンモス)という雑誌をご存知でしょうか。若い夫婦(特に子育て中)に
向けたフリーペーパーです。31号の企画が「sleep」ということで、脳科学者・快眠セ
ラピスト・薬学博士などにまじって、私は子守唄についてインタビューを受けました。
「冬眠能力」は人間も開花できる!?、という薬学博士の話にとても興味がわきまし
た。彼は季節に敏感でいられるよう冷暖房は使っていないそうです。

 ベネルクス三国とドイツに行ってきました。目的はフェルメールの女性たちに会う
ことです。「真珠の耳飾りの少女」「牛乳を注ぐ女」等ゆっくりと堪能してきました。
マウリッツハイス美術館が大改修のため、耳飾りの少女は世界中に貸し出されました。
いわゆる「出稼ぎ」していたのです。「彼女は改修費の多くを稼いできた」とガイド
さんが言っていました。
 暖冬のようですが、体調管理してよい年をお迎えください。来年もヨロシク!
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