子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信75号
日付:2015/8/24(月)

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 ねんねこ通信 75号  2015.8    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●おじゃりやれ八丈島

●八丈島の子守唄

●コラム−漂流船の歌

●編集後記
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◆おじゃりやれ八丈島
 八丈古謡に「八丈島には五ケ村ござる。ついいぇのぼるが三根の村よ。それに続い
て大賀郷村よ。坂をのぼって樫立村よ。中にはさまる中之郷村よ。すエでよいのが末
吉村よ」があります村の位置と名前を覚えるのにいいですね。

 八丈島は東京から南へ287km、羽田から1時間弱で訪れることが出来ます。は
るか昔、明の船や漁師の船、流人の船などを受け入れてきた歴史があります。流人の
第1号は宇喜多秀家で、南原千畳敷に豪姫と並んで台座に座像が祀られています。最
後は殺人の罪で流人となった近藤富蔵で、50年以上ここで生活しその間に「八丈実
記」を書き、島の研究の資料として高く評価されています。
 太平洋戦争の時には防衛拠点として海軍の守備隊が配置され、東日本では唯一の天
回基地が造られていたそうです。戦後70年の今年、ここにもその痕跡が・・・と。
 今は温暖な気候も味方して、観光の島として賑わっています。
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◆八丈島の子守唄
 ショメブシ
・沖で見たとき鬼島と見たが きてみりゃ八丈は情け島 ショメショメ
・黒い髪の毛長さは背丈 可愛いあの娘は島育ち ショメショメ
・八丈八重根のばらばら松は 誰がきるやらうすくなる ショメショメ
・大和おのこの度胸があらば 越えておじゃれよ黒瀬川 ショメショメ
・どうせ行く人やらねばならぬ せめて波風おだやかに ショメショメ
・こんな恋しい八丈を捨てて どこへ何しにおじゃるやら ショメショメ
・南風だよみな出ておじゃれ 迎えぞうりの紅鼻緒 ショメショメ
 ※古くから八丈島民に愛唱されて、今でも若い人にも老人にもうたわれている。
 ショメブシとは唄のあとにショメ・ショメと囃し言葉を入れるのでこの名がついて
 いる。ショメとは塩梅(シオウメ)のように味があるという意味だと言われている。唄
 は百近くある。「迎えぞうり」とは男から女に「結婚してください」というかわり
 に、ぞうりを渡す習慣があった。嫁にもらうためには1年間は毎晩女の家に通わな
 ければならない島の習慣があった
 
 へいなよう へいなよう
 ねんねが子守りわつらいもの 親にゃ叱られ子にゃ泣かれ
 いんのうまろじょうちゃびーびーと
 しゃんべよ しょじょうちゃ じゃーじゃーと
 へびろし たぼしょうちゃ おそばなしで・・・・
 (泣くなよ。赤ちゃんの子守りは辛いもの。親には叱られ子には泣かれ、
 ウンコをするといっいぇはびーびーと、オシッコをするといってはジャージャーと
 着物をくださるというのはウソ話でした。)
 
 へいなようへいなよう ねんねが子守りはつらいもの 親にゃ叱られ子にゃ泣かれ
 へびろしたぼじょうちゃ おそばなし みつぎよつぎのみさだおりょ
  しきびしにゅーとうでとじつけて 
 ひとよんべ着るとはじゅーじゅーと ふたよんべ着るとはびーびーと
  みよんべにわ あてどなし おったらで およりやれわがナ子さま
 (着物をくださるというのはウソ話で、三種四種ものあまり糸をつないで織った織
 物を抜き取った古い縫い糸でとじつけて、一晩着ればジャージャーと、二晩着れば
 ビービーと三晩めにはどうしょうもない。おとなしく眠りなさい、私が子守りする
 赤ちゃんよ)
 ※「へいなよう」はこの島の眠らせ唄として昔から歌い継がれてきました。口承で
 すから歌詞は色々あります。
 
 わがナ子さまわえらいもの まだ七つにもならないが
 おうぎのナかなめに池を掘り そのまた周りにわナエたぶしかせぐ
  そのナエおたぶの出来のよわさ
 ひとかぶヨウかるとわナエししぇんごく ふたかぶかるとわナエごしぇんごく
 めしにヨウたくとわナエふじの山 さけにとるとわナエいずみざけ
 のんでねろヨウくってねろヨウ わがナこさま へいなよう へいなよう
 (私が子守りする赤ちゃんはえらいもの。まだ七つにもならないが、扇の要に池を
 掘り、そのまた周りには稲を作る。その稲の出来の良さは一株刈れば四千石。二株
 刈れば五千石、ご飯に炊けば富士の山。酒に作れば泉酒。のんで寝ろくって寝ろ、
 私が子守りする赤ちゃんよ)
 
 テテンクンクン テテンクンクン シタダミ ツブツブ
 わがなほうがとんめて(朝)に起きて
 うしょ(海水)汲みにうえとう(行った)が ひん流れかしたんのう
 (波にさらわれたのかもしれない)
 テテンクンクン テテンクンクン シタダミ ツブツブ
 わがなほう(母)が おしめえ洗いにうえとうが
 足駄の音がきけいない(聞こえない)ねんねんよう
 ※母の留守に子守をしている子供が、母の帰りが遅いのを心配している唄。
 テテンクンクン・シタダミ ツブツブは山鳩の鳴きまね。それを子供のあやし言葉
 として取り入れています。
  
 ててんくんくん しただみつぶつぶ
 わがなほーわうしょうくみーでたっとうが(いかっとうが)
 石のとんぐれからつんむぐって ひん流れしたんのう 
 出てみろてごめ 出てみろなかめ なっきゃととう
 (私の母さんは海水を汲みに行ったが、岩の高いところから海に落ちて流れてしま
 ったのかもしれない。行ってみろ三女よ、行ってみろ次女よ いないよ 父さん)
 ※歌い継がれてくると内容が少しずつ変わってきています。
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◆コラムー漂流船の歌
 昔の話でおじゃる。ある日嫁入り荷物をたくさん積んだ薩摩の船が、八丈島へ流れ
着きました。島人はこの華やかな漂流船に惹かれたのか次のような歌を作りました。
この船にはさつま芋も積んであり、それを島人は種芋にしてさつま芋を増やした話で
おじゃる。

 さつま舟
 とんびとんだなさつまの舟が よくもとんできた八丈島に
 八丈島みて北浦浜へ かかりとまった まきなあ浦よ
 綱の切れたがほそかた浦よ よくも引き付けたかあしりがたよ
 一にゃまんわり 二にゃ人形 三にゃ酒だる 四にゃしぶがみよ
 五にゃごきのわん かごつの道具 六にゃロウソクひょうそくまでも
 七にゃしちとう畳のおもて 八にゃ針金しんちゅうのやかん
 九にはくようのかけすずりまで 十には重箱りきりょうまでも
 十一いちばんこくぶのタバコ ここでこの場できりあげましょう
 ※ある時紀州の国の船がオオシケ(暴風)にあって八丈島へ流れ着き、マルンダ人
 (死人)も多数おじゃったそうだが、助かった人たちは島人がみんなでデイジ(大
 切)にしてカンモ(さつま芋)を食べさせました。その人達はうれしがってクニ
 (内地)に帰ってから次のような歌を島へ送ってきたそうです。
 
 紀州舟
 ときはじんしん冬の日に 熊野の海のかつうらに
 舟が六十二そうなり 人は三百七十一
 積み込むさゆりは富士の山 吹き出す風は嵐山
 さかまく波は死出の海 くぐりぬけたるその舟は
 鳥も通わぬ八丈島 神かほとけか暇人は
 親切かいほうきげんして 二百あまりの人々は
 命のおやとふしおがむ わがばっそんよこの恩を
 語りつたへよいつまでも なさけの島を忘れるな
 ※参考図書「日本の民話26沖縄・八丈島篇(未来社)」
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◆編集後記
 「伊豆諸島有人9島 全島めぐりの旅 9日間」こんな誘いにのって、行ってきま
した。船の欠航もあり7島しか行けませんでしたが、「欠航流人」したのが八丈島で
したので私にはラッキーでした。青ヶ島で「ひんぎゃの塩」を買いました。ひんぎゃ
とは島言葉で「火山噴気孔」の事です。その熱気で海水から塩をを作るのです。 
 22日大曲の花火を見に行ってきました。昼花火の時は雨に降られてずぶぬれにな
ってしまいましたが、時間がたつにつれて雨もやみ華麗な花火ショーを堪能しました。
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