子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信72号
日付:2015/2/27(金)

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 ねんねこ通信 72号  2015.2    http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●宗教がわかれば世界が見える?

●沖縄の子守唄

●コラム−八重山諸島

●編集後記
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◆宗教がわかれば世界が見える?
 どうして世界は混とんとしているのでしょうか。メディアから流れてくるニュース
は心を痛める内容ばかりです。日頃あまり気にしていなかった宗教のことが「イスラ
ム国」を名乗る集団によって日本人が殺害されたことで、急に関心が向きました。宗
教とは人を幸福に導くものだと思っていたので、殺人とは驚きです。
広辞苑によれば、宗教とは「神または何らかの超越的絶対者、或いは卑俗なものか
ら分離され禁忌された神聖なものに関する信仰・行事。また、それらの連関的体系」
などとありました。難解です。それで「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」を読
み返してみました。「イスラム教がわかる」の章では、ムハンマドが洞窟で突然神か
らの言葉を聞き書き留めた本が「コーラン」で、それがイスラム教の始まりだとのこ
とでした。キリスト教もユダヤ教もイスラム教も「唯一絶対の神がこの世をおつくり
になった」という宗教です。神様は今の世界をどう見ているのでしょうか。
 「インシャラ―」「マーシャラー」という祈りの言葉、私は大好きです。
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◆沖縄の子守唄

 月ぬ美(カイ)しゃ 十月十三日 みやらび美しゃ 十七つ ホーホイ ショウガー
 月ぬ美(カイ)しゃ なるがに 庭木ぬ花や ガラシヌ鉦鼓マー
     クイチ クイナマー ホーホイ ショウガー
 東からあーりーおる大月ぬ夜 沖縄八重山 照らしようり ホーホイ ショウガー
 西からあがりおる若月よ 我ちゃ屋ぬ頂まで照らしようり ホーホイ ショウガー
 赤山ぬーら山 ゆうな山に走りべーりー ホーホイ ショウガー
 ※八重山地方の代表的な子守唄で、月に照らされた美しい夜の風景を唄っています。
  「月ぬ美(カイ)しゃ」で検索すると、ユーチューブで唄を聞くことが出来ます。
  唄う人によって歌詞や旋律が少し違ったり、終わりの掛け声も「ホーイチョガ」
  など色々あります。(TAKI−0501 竹富の風)

 東からあーりおる 大月ぬ夜(東からのぼる大きなお月様の夜)
  我んどゥ家ぬ頂までィ 照らしょーり(私の家の上まで照らしてくださいね)
                           ホーイ チョーガ
 月ぬ美しゃ十日三日(月の美しいのは十三夜)
  童女ミヤラビ美しゃ 十 七つ(乙女の美しいのは一七歳 )ホーイ チョーガ
 あんだぎなーぬ 月の夜(あれほど美しい月の夜)
  我がけーら 遊びょーら(私たちも外に出て遊びましょう)ホーイ チョーガ
 ※一般に唄われている「夜の子守唄」です。我が家のかわりに「沖縄ん八重山ん
  照らしょうーり」とも唄っています。

 月出ぬ花むめ(月の出が花のよう)我がけーらぬ遊びょーら(私たちも遊びましょう)                       ホーイチョーガ ホーイチョーガ
 昔世ぬやだけんや(昔の世の中では)遊びでんあだそーぬ(遊びがあったそうだ)
                      ホーイチョーガ ホーイチョーガ
 大和世にかきらり(大和の世になって)板札にまわさーり(板札がまわされて)
                      ホーイチョーガ ホーイチョーガ
 遊びでんどゥぐねーぬ(遊ぶこともなくなった)甘いでんどゥぐねーぬ(甘えるこ
  ともなくなった)            ホーイチョーガ ホーイチョーガ
 ※島津藩が侵入し人頭税がかけられたり、強制労働が課せられたり、男女の自由な
  遊び(歌垣)を禁止した板札が回されたことを唄っています。

 我が抱きほどおわ(成長)さば(私が抱いておおきくしたら)
 唐も大和も行かすんど(中国にも日本にも旅をさせよう)
 げたぐわ(下駄小)もさばぐわ(草履小)もく(履)ますんどう(下駄も草履もは
                               かせましょう)   なんじゃ(銀)もこがね(金)もかあ(預)らさやあ(銀や金も頂かせましょう)
 ※沖縄が琉球大国であった頃の唄ではないでしょうか。

 波照間ぬ上なか(波照間のうえに)下八重山ぬ上なか(下八重山のうえに)
             ホイチョーガ   ホイチョーガ             昔世ば給られ(昔の世を給われ) 神ぬ世ば給られ(神の世を給われ)      
             ホイチョーガ   ホイチョーガ 
 ※波照間島で採歌されたと書かれていました。人々の幸せを願う気持ちが唄われて
  いますが、もしかしたらこの唄は、琉球と薩摩の二重支配に苦しめられている気
  持ちを子守唄に託していたのかもしれません。

 大村御殿ぬ 角なかい (大村御殿の角の所に)
 耳切り坊主ぬ 立っちょんど (耳切り坊主立っとるぞ)
 幾人(イクタイ)幾人 立っちょやびが (幾人立っておられるか)
 三人四人(ミチャイヨッチャイ)立っちょんど (三人四人立っとるぞ)
 鎌(イラナ)ん小刀(シーク)ん 持っちょんと (鎌や小刀も持っとるぞ)
 泣ちゅる童 耳グスグス (泣いている子供は耳グスグス)
 ヘイヨーヘイヨー 泣かんど ヘイヨーヘイヨー 泣かんど
 ※この唄は首里の伝説に基づいています。約2百年前、那覇の護道院という寺に、
  黒金座主という怪僧がいて、妖術を使って世人を惑わしていた。そこで当時の琉
  球王府尚敬王が弟の北谷(チャタニ)王子に退治するように命じた。彼は自分の屋敷
  大村御殿に碁の相手として怪僧を招待し、すきを見て殺害しようとしたが見破ら
  れ王子は妖術をかけられて眠らされてしまった。しかし、それでもめげずに逃げ
  る座主の耳を切り落としとどめをさすことが出来た。それ以来、大村御殿の角に
  毎晩耳のない坊主の亡霊が立つと噂された。そして北谷王子に男の子が生まれる
  と黒金座主の呪いがかかり早死にしたという。
  首里では男の子が生まれると「大女(ウフイナク)大女」と言って、その祟りを避ける
  風習がごく最近まであったそうです。 

 ヘルヘルヘル 泣くなよ 母(アンマー)や長畑から 芋ぐヮー掘てィめーぐっと
                          泣くなよ ヘルヘルヘル
 ※お母さんが畑から芋を掘ってくるから泣かないで、という寝させ唄です。
  このあやし言葉が面白いですね。

 沖縄で聞き取りされている唄はまだたくさんあります。次の機会に紹介します。
  
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◆コラムー八重山諸島
 波照間島に行ってみたくてツアーに参加しました。石垣島を起点に西表島・由布島
・波照間島・新城島・小浜島・竹富島を巡りました。天候は曇りがちでしたが、時々
晴れ間も見えて温暖な気候の中、3泊4日の旅を楽しみました。西表島の秘境「船浮
」からグラスボートに乗ってサンゴ礁を遊覧したり、マングローブの茂る川をさかの
ぼって「水落の滝」を見たりしました。由布島へは牛車で往復しました。日本最南端
の有人島と言われる波照間島への航行は、天候次第で欠航が多いと聞いていましたが
、運よく行くことが出来ました。波照間ブルーの海を堪能しました。神の島と言われ
る新城島は定期便がないので個人では行きにくいためか、夏以外は静かな島です。小
浜島ではシュガーロードと名前の付いたサトウキビ畑の道を走りました。冬に糖度が
増すサトウキビは収穫の最中でした。竹富島では島豆腐の朝食を頂き、水牛車で赤瓦
屋根の古民家集落を回りました。徒歩でも回りましたが、あの展望台は階段が急で高
所に弱い私には恐怖でしたが、登りましたよ! そうそう星の砂も見つけました。
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◆編集後記
 宗教のことは話題としては避けていたのですが、恐ろしいニュースが次々に報道さ
れるので、ついつい考えてしまいました。多くの宗教が宗派間の争いがあったことは
知られています。未だに続いてもいる問題です。人間が生み出したものなのに、人知
の及ばないところまで来てしまっているようです。

 屋上のミモザが見事に蕾の房を付けしなやかに茂っています。開花が楽しみです。
春の訪れを知らせてくれる球根類も花芽を出し始めています。この冬は月桃が枯れず
に生き延びました。もう雪は降らないでしょうか。まだ気は許せませんが・・・。
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