子守唄研究室
研究室へようこそねんねこ通信子守唄リンク集
研究リポート書き込み掲示板TOPページへ
ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信27号
日付:2007/10/6(土)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ねんねこ通信 27号  2007.10    http://komoriuta.cside.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◎目次

●アンケートの書き込みから

●子守唄異聞――物がたり風

●コラムー「お赤飯」と祭りごと

●編集後記
============================================================================
◆アンケートの書き込みから
 ホームページの「アンケートにご協力ください」とのお願いに、皆様から貴重なご
意見をいただいています。少し紹介します。
・私は共働き家庭に育って、昼間は同居の祖母に面倒を見てもらっていました。子守
 唄は主に祖母が歌ってくれました。なので子守唄は私にとって祖母の大事な思い出
 のひとつです。今自分に子どもができ子守唄をうたってあげています。この子がま
 た何十年後かに、自分の子に歌ってくれるといいなと思っています。(20代)
・子守唄には昔から歌い継がれてきたものが多く、日本の伝えていくべき文化のひと
 つだと思います。わかりにくい歌詞なども含まれていることもありますが、それも
 魅力のひとつだと思います。(20代)
・子どもができるまで特に考えたこともなかったのですが、実際子守唄をうたうと子
 どもが本当に寝入るので驚いています。自分も歌っていると心が落ち着くのを感じ
 るので、もっといろんな子守唄を知りたいと思っています。(30代)
・今、孫を寝かせる時歌っています。ここはブラジルのサンパウロ、孫も混血なので
 いつか日本語は使わなくなるでしょう。でも日本の子守唄だけは覚えて伝えていっ
 て欲しいと思っています。(60代以上)
 まだ貴重なお話はありますので、少しずつ紹介させていただきます。
============================================================================
◆子守唄異聞――物がたり風

 柴の折戸の賎(シズガ)家に 翁(オキナ)と媼(オウナ)が住まいけり
 翁は山にたきぎとり 媼は川に布(キヌ)すすぎ
 日ごと夜ごとの世渡りも いとあさましき五十鈴川
 流れ流れる源に 流れ来たれる桃の実の
 世にたぐいなく大ければ あな珍しと持ち帰り
 座敷にすえて愛ずるうち 桃はわれから打ち割れて
 男児(オノコ)が一人出でにける 
 老の夫婦は驚きつ また喜びつ取り上げて
 桃の中より出でたれば 桃の太郎と名づけつつ
 かざして花と愛でにける
 しだいに人となるにつれ 健(タケ)しくも賢(サト)くして
 翁と媼の高き恩 深き恵みに報いんと
 鬼はときどき人里に 渡りて憎き振る舞いを
 憎しと常に思うより きびの団子をかてとなし
 犬 猿 雉を従えて 鬼が島へと打ち渡り
 鬼を平らげその島の 黄金(コガネ)白金(シロガネ)種々(クサグサ)の
 宝を納め帰り来て 翁と媼にささげたり
 豊かに富める身となりて 親に仕える忠実心(マメゴコロ)
 げにありがたきためしなり 
 鬼ちょうものは世の中の 邪(ヨコシマ)な人を鬼という
 おさな心に善し悪しを 知らせんために伝えたる 昔の人のかぞえ草 (岩手県)

「桃太郎」の話です。眠らせ唄として眠りにつく子どもには、楽しい唄ですね。終わ
りまで聞くことができたのでしょうか。

 山んだァのじいの子 じいの銭ゅう盗んで
 鯛(タエ)を買うて食うたげな
 あんまり塩が辛うて 前の川へ飛び込んで
 水ウ三杯湯ウ三杯 合わせて六杯飲んだれば
 あんまり腹がふとうて 鐘撞堂へとびあがり
 屁をプンプンこえたれば 鐘撞堂がくずれて
 大きな仏は泣きょる 小(コ)めえ仏は笑ようる
 大きな仏は笑やんな
 今度の市にゃ板三間買うてきて 堂建てて進ぜましょう
 アねんねんや アねんねんや
 坊やはよい子だ 泣かずにねんねんよ ねんねんよ   (岡山県) 

 話がどんどん発展していって、最後にどうなるのかなと聞いているうちに、寝かさ
れてしまう唄です。

 そまつにするなと母上の 仰せたまいしこの人形
 着物を着せて帯しめて 箱の御殿に坐らせん
 着物はもどり 帯は赤 模様は千鳥に春の雪
 泣くなよ泣くなよ お休みの日に梅見に連れて行こう
 あわけるねずみ じゃれるねこ
 坊やの人形やぶるなよ
 またも今度の休みには 村の鎮守の祭日よ
 何を買うてあげようか お前に太鼓を買ってやろ
 ねんねんねんねん ねんねしな  (栃木県)
 
 明治以降に創作された教訓童話の一つで、メロディーは哀調をおびているそうです。

=============================================================================
コラムー「お赤飯」と祭りごと
 実りの秋をむかえて、祭のお囃子が聞こえてきます。豊作のお礼や農作業の労をね
ぎらうことなどで、地域ぐるみで行なわれています。祭りごとにつきものなのは「お
赤飯」です。古くからお米は「お粥」にして食べていましたが、蒸し器が使われるよ
うになってから、蒸して食べるようになってきました。蒸かした飯は「強飯コワメシ」
と言われ、神様に供える風習があったようです。赤飯のことを「おこわ」と言うのも
この強飯からきています。
 赤飯は昔は凶事に使われていたとも言われています。吉事には白飯でしたが、赤い
色で邪気を祓う効果を期待して、南天を添えて吉事に用いられるようになったそうで
す。南天は「難を転じる」につながるからです。
 古代米(赤米)を少しまぜて炊くと、ご飯に赤味がつき歯ごたえのある食味になり
ます。古代米だけで炊いたら、今の赤飯のような食感になるでしょう。稲は長い間か
かって品種改良されてきました。黒いチュウリップや青いバラが咲く現代、これから
カラフルな米が作られるようになるのでしょうか。チョット楽しみでもあります。
============================================================================
編集後記
 暑かった夏がやっと終わったようです。先日、子育てグループに招かれて「子育て
と子守唄」の話をしてきました。そこで気付いたのですが、赤ちゃんを寝かしつける
時に何もしていないと言うことです。まして子守唄など歌ったこともないのです。以
前とったアンケートからも、子守唄があまり歌われなくなったことは分かっていたの
ですが、その現実を目の当たりにすると、ショックです。
 伝承したい文化として、微力ながら、次世代へ繋いでいく活動をしていきます。
============================================================================
このメールの配信を今後希望されない方は、お手数ですが、次のURLから配信中止の
手続きをお願いします。
http://komoriuta.cside.com/nenneko/koudoku.html
----------------------------------------------------------------------------
●子守唄研究室

・ホームページアドレス
http://komoriuta.cside.com/
・メールアドレス
komoriuta@cside.com

============================================================================

<<次の号 前の号>>


戻る