子守唄研究室
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ねんねこ通信

タイトル:ねんねこ通信97号
日付:2019/4/27(土)

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 ねんねこ通信 97号 2019.4  http://komoriuta.cside.com/
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◎目次

●平成から令和へ
 
●奄美群島の子守唄

●コラム−おもろの世界

●編集後記
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◆平成から令和へ
 5月1日から新しい時代に入ります。令和の典拠は万葉集の梅花の歌の序からだそ
うで「初春の令月にして、気淑ヨく風和らぎ、梅は鏡前の粉を披ヒラき、蘭は珮後ハイゴ
の香を薫らす」現代語にすると「時あたかも新春の良き月、空気は美しく風はやわら
かに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかお
りをただよわせている」と、それぞれの文字の意味も発表されました。他に元号に関
する懇談会に出された原案は英弘・久化・広至・万和・万保でした。
 4月30日に現天皇が退位され、その前後から続く休日は9〜10日になります。祝う
という気持ちがまだ私の中にはありませんが、なぜか複雑です。
 令和に願うことは、大きな災害が起こらず穏やかな暮らしが続くことです。
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◆奄美群島の子守唄
・ねィぷりぷり わらび      (ねむれねむれわらべよ)
 故何イキヤしなんでィ 泣きゅんよ  (なんで泣くのか)
 泣きちちゃる 人チュ語り    (泣けと言った人を言いなさい)
 うりや うらんど        (そんな人はいないよ)
・汝ィャば泣きち 言しゃ者ムンや  (お前に泣けと言った者は)
 山ち 捨てりゅんど       (山へ捨てるから)
 海ち 捨てりゅんど       (海に捨てるから)
 泣くなよ 泣くなよ
 ※泣いているのはお前のせいではないよ、だからよい子にして寝ようねと。

 はーらんョ はーらんョ     (ねんねんよ ねんねんよ)
 泣くないよ  坊ぐヮやよ    (泣くなよ坊やよ)
 泣くないよ 泣くないよ     (泣くなよ泣くなよ)
 阿母アンマやよ 何処タチもーち    (母さんはどこへ行った)
 阿母アンマやよ 唐芋トン掘りが    (母さんは芋掘りに)
 野原ハールち 行ちゃんど      (野良へ行ったよ)
 唐芋トン掘りが 行ちゃんど    (芋掘りに行ったよ)
 ヨッコロハイヨ ヨッコロハイヨ (ねんころしょ ねんころしょ)
 ※寝かせつける言葉「はーらんョ」「ヨッコロハイヨ」が面白いですね。
  
 生まれ運フや 無ネんてィむよ (生まれ運は悪くても)
 育スダち運どゥ 産ナしゃるよ  (育ち運があるように産んだのだ)
  ヨーハレ 愛子カナよ   (ヨーハレ いとし子よ)
 親ウヤ 二人タリ 中によ    (両親そろった中で)
 育スダちマタ 見ニゃだなよ  (育って見たいものだよ)
  ヨーハレ 愛子カナよ   (ヨーハレ いとし子よ)
 泣くなちば 泣きゅるよ   (泣くなってば泣くなよ)
 泣くなちば 泣きゅるよ   (泣くなってば泣くなよ)
  ヨーハレ 愛子カナよ   (ヨーハレ いとし子よ)
 ※守子たちの悲しみが聞こえてくるようです。
  上の3つは奄美大島の子守唄です。
  
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
 ねんねぐヮしゅんちどゥ 泣きゅらや (ねんねするとて泣くのだね)
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
  ねんねぐヮしよ          (ねんねこせーよ)
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
 阿母アンマが乳から 乳飲ましゃ     (母さんの乳を飲まそう)
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
  ねんねぐヮしよ          (ねんねこせーよ)
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
 涼シタか風カシぐヮぬ 欲フしゃらばや   (涼しい風が欲しいなら)
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
  ねんねぐヮしよ          (ねんねこせーよ)
 ねんねぐヮし ねんねぐヮし     (ねんねこせー ねんねこせー)
 阿旦アタンの下シャいじ 風カシ叫アビら   (阿旦の下へ行き風呼ぼう)
  ねんねぐヮし ねんねぐヮし    (ねんねこせー ねんねこせー)
  ねんねぐヮしよ          (ねんねこせーよ)
 ※徳之島の子守唄です。優しく眠りに誘っています。風が涼しそうですね。
 
 泣きぶさぬ 面チラなんや       (泣きべその顔には)
 トゥドゥ虫ぬ しがゆんど      (ヤスデがついているぞ)
 泣かぬしが 面チラなんや       (泣かぬ子の顔には)
 砂糖サタぬしがてィ 食コーりゅんど   (砂糖がついていて食べられるよ)
 ねんねんど ねんねんど ヨーサーヨ
 ※与論島の子守唄です。
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◆コラム−オモロの世界
 オモロは沖縄・奄美諸島に伝わる古歌謡で、オモロの語源は「思う」の意の動詞。
発生年代は不明ですが、本来は神前で呪女ノロや神人カミンチュが唱えたもので、呪術的性
格が強いものです。地方に伝わるものを母体にして、呼称・歌形・内容などが中央的
に整理されたものがオモロです。
 「おもろそうし」は琉球王国第二尚王統初期、16〜17世紀に編纂されました。古琉
球の宗教・民俗を知るための重要な資料で、国の重要文化財にもなっています。
  参考文献「奄美群島 おもろの世界」福 寛美 著 南方新社
  
 『昔々、大昔、与論島がまだこの世に存在していなかったころのお話です。ある日
アマミクとシニグクというお二人の神様が、魚採りをしようと船に乗って海にお出ま
しになりました。遥かな沖に漕ぎ出て浅い瀬に差し掛かりましたところ、船が止まっ
てしまいました。お二人の神様は驚いて船から降りられ、浅瀬に立ち、瀬を見ており
ますと瀬は見る見るうちに波の上まで盛り上がってまいりました。
  シマなし しゅい     (島産みをしています)
  シマぬ 成りりゅい    (島が成っていきます)
  シマぬ 生まりゅい    (島が生まれます)
  ゆかシマ ええびゅい   (よい島でございます)
と、アマミクの神様がシニグクの神様におっしゃいました。そこでシニグクの神様は
  ゆかシマ しゃぁびゅらん (よい島にいたしましょう)
よ、おっしゃいました。こうして与論島が出来たということです』島が生まれた話。
  参考図書 かなしゃ4号 与論夜話
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◆編集後記
 96号を配送予約した時間は25日の19:17分でしたが、配送が完了したのは26日午前
3;37分でした。こんなに時間がかかったのは初めてで、皆様にご迷惑をおかけした
のではないかとお詫び申し上げます。
 このところパソコンの調子が悪くて、予期せぬシャットダウンが起きてしまいまし
た。何とか騙しだまし使っているのですが、このメルマガがうまくお届け出来るかど
うか心配です。
 我が家の花便りですが、ライラックとオオデマリが満開です。
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